「土のカタマリ・フロム・アジア」タグアーカイブ

富士山信仰とかぐや姫伝説を学んでまいりました。

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 地元の博物館に行って参りました。
 近所の公園内に建っています。
 ちょくちょく行く場所です。
 展示量がそれほど多くないので気軽に観覧出来るのです。

 かぐや姫伝説って、日本各地で「ウチが地元だ」みたいに言われているようですが、我が富士市もそう主張する地域のひとつです。
 まぁ、個人的には、作中、身分の高い人や大金持ちの子息などがバンバン出てくるので、京都とかの方が自然だよな…という気もしますが。
 それではこんな片田舎である富士市が、何故に日本中を敵に回してまで果敢にもかぐや姫伝説を誇示するのか? そのワケはいったい何じゃらホイと申しますれば、それは富士山にあるのです。
 日本各地に伝わる幾多のかぐや姫伝説。それぞれ細部に違いはありますが、最後に富士山が出てくるくだりは共通しているそうです。
 まぁはばかりながら富士山と言ったら我が地域は黙っていられるハズもありません。
 富士山の真南。正午あたりの太陽に照らされた富士山は影も無く、これぞ日本!的・無根拠な実感が湧いてくる程です。まぁそういう事らしいですね。「富士山南麓・かぐや姫伝説」の根拠は。

 ちなみに我が地元に伝わるかぐや姫は、現在広く知られている物とは若干違っておりまして、かぐや姫が月からの使者により連れ戻されるという例のクライマックスがありません。

 育ての老夫婦に別れを告げた後、徒歩で富士山まで行き、あまつさえ登山。その後、ふっつりと姿を消すという筋立てでございます。
 なんかスペクタクルな要素が根こそぎはぎ取られていて、釈然としない物を感じるんですが、これが我が地元のかぐや姫伝説なんですね。
 かと言って全編地味かって言うとそうでも無くて、夜においても光りを放つ美の体現者。アジアンビューティーかぐや姫と言った描写は装備されていますので、光り物好きな方。もしくは何かの間違いでこのブログで初めて「富士かぐや姫」を知った方はどうぞこの機会にファンになってください。
 ものはついでですから富士市にも訪れて頂きたいと思います。当地は地方のさいはてにありがちな車社会ですが、かぐや姫関連の地は幸運にも電車によるアクセスが可能です。
 包み隠さず実態を申し上げると製紙工場の狭間に押し込まれたような、若干情緒に欠ける地なのですが、きれいな公園として整備されました。
 まぁこの近年整備された公園ってあたりもまた急ごしらえな印象を与えるんですが、石碑などは正真正銘の建立者不詳の歴史的物件です。彫りが浅すぎた為、現在ではなんと書いてあるかも良く分からない単なる丸い大きい石です。

 長くなってしまった。マズい。
 本旨は「今日、博物館に行ったよ」という物であります。
 ところが肝心の展示なんですが、これが地味でしたね。
 古文書と呼べるような物がたくさん展示してありましたが、当然私などには読めません。
 地域の掲示板に貼ってあったポスターには可愛らしいかぐや姫が描かれていてポップな印象でした。それで多少の期待を抱いた訳ですが、いかんせん中身はかなりのハードさでした。
 その手の心得がある人でないと、ありがたみが分からないのでは?と感じた次第であります。

 私にとっての収穫は、「富士山信仰」に関わる事柄にありました。
 恥ずかしながら、今まで知らずにいた事ばかり。
 昔の人は富士山がどのようにして誕生したかに興味があったようです。
 なかでも「これはイっちゃってるな。」と私が感じたのは、アジアの方から大きな土のカタマリが飛んできてそれが着弾して富士山になったという説。
 なんともスケールの大きい話です。詳細まで読みませんでしたが神話的な裏付けが併記されていたと思います。じゃ無ければむしろ与太話、ほら話の範疇ですね。
 これは個人的にかなりのヒットでした。描く絵とかにも影響が出そうです。新しいビジョンですね。

 もうひとつファンキーだなと思ったのは、日本各地の浅間神社(せんげんじんじゃ)にまつられているという木花咲耶姫(このはなさくやひめ)その人です。
 神話に出てくる女神だそうです。
 結婚の後、一夜で身ごもり、夫である神様に「本当に俺の子か?」と疑われた事に逆ギレ。産室に火を放ち「神の子なら何があっても生まれてくるはず!」と絶叫。無事に火中出産を済ませたそうです。

 キレてますね。
 相手に反論の余地を与えない怒濤の勢い。むしろ真偽の検証を永遠の謎の範疇に追いやってしまいかねない諸刃の剣。同時に腹を割ったお付き合いはちょっと出来ないかな、と相手に思わせてしまう不幸。
 がしかしこの手の人は別の生き方は出来ないのでしょう。凡人とはワケが違います。
 出産の時の効果音も『スポーン!』とかそんな感じの勢いですよね。おそらくきっと。

 このヤケドしそうな女神様が富士山の守り神的なポジションに居るらしいです。
 まぁ、せんげんさん(富士宮にある浅間大社の事を地元ではこう言い表します)っていったら富士山ですからね。
 そこでまつられてる神様が、同時に富士山のカミサマって言うのは凄く納得の行く話であります。