「イラスト・ウソいきもの」カテゴリーアーカイブ

甲府星人帝国〔37〕

 本日のイラストは昨日に引き続きまして山梨県の甲府盆地のはじっこというか、富士川の始点である土地「鰍沢(かじかざわ)」です。

 具体的には落語の「鰍沢」から着想を得ました。

 興味のある方は探して聞いてみてください。

 山梨の全県民がヨソから来た旅人の生命と財産をつけねらっているのだという戦慄すべきその実相が描かれています。邪悪な県民性です。

 イラスト中で火縄銃を乱射(できないですけど)している女性キャットは女優の梶芽衣子(かじめいこ)さんをモデルにしました。

 具体的には渡瀬恒彦さんとの映画「ジーンズ・ブルース」です。1974年に公開されたのだそうです。

 ラストの辺りが壮絶でありまして、ちょっと小説家のジェイムズ・ティプトリー・ジュニアさんの人生のしまい方に重なる部分もあるかなって思います。

 崖から落ちていきそうになっているイヌくんのポーズは漫画家の杉浦茂さんが多用したソレからお借りしてきました。

甲府星人帝国〔36〕

 釜無川(かまなしがわ)と笛吹川(ふえふきがわ)というふたつの川が合流して富士川になるんですけど、その合流地点のあたりを鰍沢(かじかざわ)っていうらしいです。山梨県の甲府盆地のはじっこになります。地名としてとても美しくて私は大好きです。

 浮世絵の「鰍沢」というのを調べていただくとわかるんですけど、本日のイラストはその絵を参考にしました。わりと有名な絵だと思いますが、これが山梨県の風景を描いたものだと知っている人はどれくらいいらっしゃるんでしょうか。私は調べてみて初めて知りました。

 鰍沢からはおそらく富士山は見えないと思うんですけど、前にもチョロっと書きましたけど浮世絵みたいな大衆向けの絵の場合どうしても入れざるをえない題材っていうのがあるんですよね。私も完全にそっち側のイラストレーターですので右にあるものを左に描くのなんか序の口。見えないものだって描いちゃいますよ。そういう職業ですね。

 本日のイラストではUFOが大きな丸太を投下して地面を“ついている”ようすを描きました。

 以前に聞いたラジオ番組「ニッポン時空旅」における「地搗き歌(じつきうた)」。「おたかさん」という美人の女性が出てくる歌。それはどちらかというと釜無川の方なのかなと思います。信玄堤があるという付近なのかもしれません。

 注意が必要なのは「信玄堤」や、きのうのイラストで描いた「聖牛」。それらと「地搗き歌」が歌われた時期はかなり間隔があります。明治以降の歌であるらしいんですよね。

 本日のイラスト作成は録音しておいた「ニッポン時空旅」の当該回を聞きながら進めました。

 番組でも触れていましたが、静岡に伝わるそうした護岸関係の労働歌にも「おたかさん」が出てくるので実在の人物から伝説的な人物へと変質していったこともわかります。

 おたかさんは私の住む富士市から山梨県へ至る「大月線(139号線)」の終点である大月でその生涯を終えた。10人の子を作ったということなんですが。いつか自転車で大月線全路線を走ってみたいものです。正確に言うと実のところ、大月線の終点って大月よりもちょっと奥の方に入ったところなんですけど、ソコはソレなのです。

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 ラジオ日記です。

 いやー。きのうの夜の「クラシックの迷宮」がすごかったです。

 西村朗さんの追悼番組。

 割とこの番組の場合、追悼はよくやりますけど、1周年とかのキリの良い時期にすることが多いかなって思うんですが、西村さんの場合はそういうんでもなくて。おそらくNHKと西村さんの関係。それと解説の片山杜秀さんと西村さんとの関係というのもあるんでしょう。西村さんが飛躍を遂げた1979年のコンサートをまだ若い片山さんが聞きに行って感激したと知って驚きました。当然まだ西村さんも若かったわけなんですけど。

 私にとっての西村さんっていうのをまだまとめてなかったですね。

 これは年代的なものです。西村さんって言えば「ケチャ」。それくらいしか知らなかったんですけど、番組「現代の音楽」を聞くようになって、さらに深く知るうちに「西村さんって今は大変な先生かもしれないけど、汎アジア的な視点とか東洋思想とか、そういうのって私が子供の頃の年上の若い人たちの先端的な潮流とかに重なるものだな」と思えてきて「きっとそういう知の領域に反応し創作に反映していった人なんだ」。合っているかわかりませんが、私の中で仮想の西村像が出来上がりました。「当時のカッコいいお兄さん達のうちの一人なんだな」っていうことですね。そういう西村さんがかなり若い頃から現代音楽の発展を見ていて、日本の作曲家に関して言えば、憧れの対象から、学校で教えてくれる先生に移り、さらには同業者になっていったわけで、要するに「そういう履歴を持った人が見た現代音楽だったりそこに連なる作曲家。それらを見てきて語っている」という感じで前提がハッキリするので、私が現代音楽というものを知る上において良いガイドとなる人でした。今の若い作曲家になると番組でも明らかになっていった通り「学校に入るまでは調性音楽それ一辺倒だった」みたいな人が多いみたいで。それは仕方ない面もあると思いますし悪いこととも思えませんが、やっぱり10代も早いうちから聞いてきたよっていう人とは語る内容も違うでしょう。もっと語ってほしかったですね。私みたいな門外漢であり、であるにもかかわらず興味を持っている人間にとっては。しかし最終的には亡くなる前に残した「作曲家が譜面に残した音のひとつひとつまでに注目してほしい。そこには意味がありますよ」っていうのが一番伝えたいことだったのかなという気もしています。それと確か武満徹さんの回で「私もピアノに向かう時は厳粛な気持ちで相対し、響きの探求をしています」みたいなことをおっしゃっていたのも印象に残っています。

 きのう聞いた「クラシックの迷宮」に戻します。

 この機会を逃したらちょっと放送できないような長いラジオ音楽劇を放送してもらえて大感激。これが予算的にもけっこう大きかったということでしたけどとても充実した、研ぎ澄まされた仕上がりで聞き応えがありました。役者さんの演技も重厚でよかった。西村さんのつけた音楽にしろ演奏にしろよかった。50分ほどがあっという間。

 以前に「クラシックの迷宮」では黛敏郎さんがまだ若かった時に残したラジオ音楽劇を聞きましたけど、どちらも素晴らしかったと思います。

 あえて言えば題材が第2次世界大戦も終盤という時期を扱った分、きのう聞いた曲に入り込めたかなと思います。

 銀色に光る戦闘機の機体。

 これはおそらく私の住む富士市から見て富士川の対岸、日本軽金属という会社があるんですけど、そこでつくられたジュラルミンのことも含まれるのだろうなと思います。

 ちょっと前の当ブログにおいて富士宮市の図書館で静岡県における市民運動、15年戦争、それと少年戦車兵、などなどの本を見てきましたみたいなことを書きましたが、知らなかったのでビックリしたんですけど、山梨の身延町のあたりから地下トンネルを掘って、その水力で発電した電力でアルミを作っていたというんですね。

 日軽金の発電施設というのは他にもいくつかありますし、アルミはとにかく電力を消費するというのは知っていたんですけど、相当な距離のある身延町からの地下トンネルがあるとは知りませんでした。よくそんなことしましたね。

 その建設に大量の当時の朝鮮人を連行というか募集という名の下に実態は人数の割り当てを定めて「これくらい連れて来い」っていうことだったのだそうです。

 そんなことも思いながら聞きました。なんともいえないですよ。私としては富士市の南部にあった飛行場の建設に中国人が多く使われ少なくない人の命が失われたそのへんを詳しく知れればいいなっていうくらいだったんですけど、昔の日本。中国人とか朝鮮人を酷使しすぎ。っていうのがわかってちょっと言葉も出ません。一般的な知識としては知らなかったわけでもないんですが、具体的な県下における地名であるとか連れてこられた人の概数を知るだけでもちょっとこれはどうなんだっていう気がします。県内で合わせると万のオーダーらしいんですよね。少なくない人が亡くなったりしたと。もちろん日本の人の死者数であるとか、勤労奉仕の実態、あと戦時下の反戦活動ですね。知りませんでした。モロモロあわせて知ったわけなんですけど。

 おぉそうだ。私の住む富士市が発行する広報誌に興味深い記事を発見しましたので載せておきましょう。

 戦後における占領軍からの被害に対する補償への呼びかけなんですね。「広報ふじ」昭和44年、1969年の3月5日号からの引用です。こういう給付金があったんですね。事務所が御殿場市っていうのもまたリアルです。

 思うんですけど日本国のことを世界でもとても長い歴史を持つ国。みたいにいうことがありますけど、あのへんの人たちって占領下にあった日本のことをどう位置付けているんでしょうか。連続した国体として扱ってはいけないんじゃないかっていうのが私の意見なんですけど。なんか都合良く解釈されてないかなって思います。そうした断絶を覆い隠したいという気持ちが戦前戦中の気風であるとか教育勅語をありがたがる風潮につながるんじゃないかっていう疑いも持っています。「勅語」の意味を明らかにすればそもそもおかしいことを言っているのは誰にもわかると思うんですが。無理がありすぎます。「いいことを言っているから良い」っていうのとは違う気がするんですよね。

 再度、番組「クラシックの迷宮」に戻します。

 そういえば片山さんは「天皇なき愛国活動」についておっしゃってました。いや戻しますけど。

 他に聞けた曲としてはNHKの電子音楽スタジオもの。嬉しかった。これが私は大好物なので。電子音に偏らずにテープ操作であるとか数学的な試みを試しやすい環境であるスタジオワーク。響きを確認できるという面において。それらの試みはオーケストラに移植する前段階だった。西村さんの目論見ですね。そうした片山さんの解説はとても納得のいくものでした。

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 他にもラジオを聞きました。

 「伊集院光の100年ラヂオ」。炭鉱に関わる労働者向けの番組について学びました。

 これが終戦というか敗戦から2年目の放送の録音テープで、よく残っていたなと思います。

 古い録音を聴いていくという番組ですけど、古いものをたどると必然的に占領下の日本のあり方、暮らしの実相も知れて良いですね。実感が湧いてきます。先週の再放送では聞き逃して悔しい思いをしていた戦災孤児を迎え入れたご家庭のインタビューが聞けてうれしく思いました。伊集院さんがいつわりの涙をこぼされていたということですが私は本心からの涙がこぼれてきて止まりませんでした。

甲府星人帝国〔35〕

 今日のイラストは聖牛(ひじりうし、せいぎゅう)とよばれる構造物を描きました。

 治水対策ですね。水害を防ぐ工夫です。

 信玄堤(しんげんづつみ)っていう武田信玄さんが行った治水対策があるみたいなんですけど、その一環であって、川の流れから護岸を守るというものです。

 私も確か富士市内における富士川の岸近くでこの聖牛を見たことがあります。

 「何かが壊れた後の残骸なのかな?」と思いましたが、あれが正しい姿なのだと後で知りました。

 私が見たのはコンクリートで出来ていました。今ある聖牛ちゃんはだいたいコンクリート製じゃないでしょうか。そんな気がします。

 水の流れを利用して踏ん張る性質ですので、設置するときは作業する人が水に濡れながら行ったんだとか。危険な作業ですね。今なら重機もありますし、鉄筋造りでしょうから危険な作業をともなわないと思います。

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 ラジオ日記です。

 NHK・FM「世界の快適音楽セレクション」を聞きました。

 ゴンチチ演奏による楽曲「エピローグ~くらげとあの娘~」を聞きました。

 映画のエンディング・テーマなのかと思います。風景、情景を温かく包み込むような曲でした。

 つい最近の番組内においてやはりゴンチチの楽曲「恋するくらげ」という「くらげ」を題名にした曲を聞いたんですけど、そちらは「くらげ」自体を見た印象が曲にかぶさっているのかなと思います。水中をユワユワと泳いでいるような無重力な感じ、そしてくらげの体の鈍い金属的な体色を表現しているようだと感じました。

 番組内で他にかかった曲としてはBrenda Leeさんの「Kansas City」。非常に良い歌声でした。私はビートルズがカバーしたバージョン以外を初めて聞きました。

 ビートルズは女性グループの楽曲をカバーするのが好きだ、みたいに言われることがあるかなって思うんですけど、原曲を聞くとそれ自身が元気な曲で、おしとやかな曲からはあんまりインスピレーションを感じることはなかったのでは……と思います。どちらかというと「負けちゃいられない」とか自分たちがカバーするとこんな感じになるという完成系が容易に思い浮かぶものを取り上げているんじゃないかって思うんですが。

 ちなみに「静かなキレイな曲」をだいなしにしちゃったナンバーワンはモーターヘッドのレミーさんとプラズマティックスのウェンディさんがカバーした「スタンド・バイ・ユア・マン」だと思います。地獄のような仕上がり。原曲はTammy Wynetteさん。1968年の曲だそうです。映画「ブルース・ブラザーズ」の中で檻の中でバンドが演奏するのを聞いてお客の中年夫婦が互いの愛を思い出す描写で知る人も多いのでは。おかしいですよね。あそこ。

 番組中に聴いた曲に戻しますが、高峰秀子さん他による「銀座カンカン娘」が良かったです。やっぱり笠置シヅ子さんの歌声がいちばん響くかなという感想。

 US3の「Cantaloop(Flip Fantasia)」を聞きました。これは懐かしいですね。私もこの曲が収められたアルバムは買いましたよ当時。やっぱりよくできた曲だなと思いました。しかし初めて知ったこととしては、読み方です。「US3」と表記して「アス・スリー」と呼ぶんだそうです。そうだったんだ。ためになりました。

 西村朗さんの曲「秘儀III 旋回舞踊のためのヘテロフォニー」を聞きました。ヘテロフォニーという手法は面白いとチチ松村さんの感想。西村さん追悼の意味もあった的な選曲。「旋回舞踏」と言われると、私ならずとも、すわ「スーフィー教か?」と思うわけですけど、解説を聞くとあくまで架空の宗教的な儀式を想定しているんだそうです。西村さんは汎アジア的な視点をもち、アジアにある思想とかがお好きだったと思うんですけど、確かに特定の宗教に完全に寄せるのとはちょっと違ったかなと私も思いますので納得したのでした。旋回し高揚するようすがよく表現されていると思いました。ざっくりいって宗教的法悦っていうんでしょうかね。

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 「文芸選評」を聞きました。NHKラジオ第1。

 俳句の日。選者は俳人の北大路翼さん。兼題「湯冷め」。

 裸の子供たちを追いかけていたら湯冷めしたという俳句が私は一番好きでした。

 番組中盤では北大路さんの新しい職業にまつわる俳句について伺いました。

 前回の番組出演で、新宿は歌舞伎町から伊豆の熱海に転居したというところまでは聞いていたのですが、職業的にも編集者から給食のおばちゃんに転じたとのことでした。給食作りにまつわる俳句がたくさんできている状態であるのだそうです。

 聞くだに多分そうなんだろうなと思いました。状況が全く違います。

 次の番組「ひるのいこい」では秋らしく「収穫の報告」が寄せられていました。「給食」から「収穫」。北大路さんも「食」は大きなテーマとおっしゃっていましたけど、そうだなと思います。

甲府星人帝国〔34〕

 これからの数日は「甲府星人」とは関係なくなってきますけど、山梨県ネタをこの機会にまとめておこうかなと思います。

 本日のイラストは富士吉田市に存在する悪の施設「富士山レーダードーム館」です。私としては自転車で富士山一周した時に脇を通りかかりましたけど中に入ったことはありません。

 かつての富士山の測候所が移築されています。

 富士山測候所が閉鎖になる際に「どこか欲しい自治体はありますか?」と問われて手を上げたのが富士吉田市(悪の地・山梨県)と御殿場市(善の地・静岡県)だったそうです。

 私の疑問としてはナゼ、我が富士市や富士宮市が手を上げなかったのかと思います。

 富士や富士宮の子どもが富士山の絵を描く場合には必ず山頂の左すみに測候所のドームを描いていたんですね。「あのドームの中でオジさんたちが氷でカチコチになりながら天気を調査しているんだな」と思っていました。

 御殿場市はもちろん富士吉田市の子どもはお絵描きする時に測候所は描いていなかったと思います。逆サイドですからね。

 沼津の子は描いていたかもしれません。

 山梨県ですと静岡との県境に近い朝霧高原在住の小学校の子達はおそらく描いていたのでは。朝霧高原は富士山にとても近いですし角度的に言っても大丈夫そうです。

 つまり富士吉田市民は恥を知れといったところで本日の文章を結ぼうと思います。タダだと思ってホイホイと。怒りの吉田うどんですよ。