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TROMS〔01b〕連載を貫くタイトルについて

 連載タイトルの説明をしておこうと思います。

 「TROMS」という言葉を考えてみました。

 これは「The Reality Of My Surroundings」の略です。カシラ文字を取りました。

 フィッシュボーンというアメリカのミクスチャーロックのバンドのアルバムタイトルからお借りしてきました。

 「オレを取り巻いている現実」みたいな感じでしょうか。

 彼らフィッシュボーンというバンドは楽しく激しい音楽性で知られるんですが、「アメリカという地で生きるアフリカ系のオレたち」みたいな視点は常にあって、大きく言うと「社会とオレ」ってことでしょうか。

 ツラい部分も楽しい部分もどちらも見据えつつ強くありたいっていうパワーを感じます。私が20代の頃にずいぶんはげまされたバンドの存在でした。

 ライブにも3度ほど足を運んでおりますので、回数から言えばイギー・ポップ氏やGBH、バズコックスなんかと同等です。

 私がラジオでよくお話を聞いているゴンチチのチチ松村さんもライブで見たことがあるそうでパワーを感じたとかウンヌン。非常にパワーというか渦巻くような音楽の奔流と申しましょうか、そういうバンドです。

 アルバム収録曲の中で私が好きなのは「Fight the Youth」「Everyday Sunshine」などです。非常に久しぶりに聞き返してみました。今回あらためて。同時に私にとっての1番好きなフィッシュボーンのアルバムというのはこの盤ではなかったなということも思い出したんですがそれはまた別の話。

 しかしこのアルバムタイトルはイイなって思います。

 またこのアルバムというのは、短い曲がところどころに挟まっていて、それらは同じ曲のバージョン違いも混ざっていて混然としているんですけど、「叫んでいる声の部分」が他のアーティストの楽曲にサンプリングされて使われている例がチラホラあります。聴く人によっては「この声の出典元はこの曲だったのか」という発見がもしかしたらあるかもしれません。

 有名なものですとOrbitalの「tension」かなと思います。

 戻しますけど、今回の連載の文章を書いているうちに、若い頃にフィッシュボーンにひかれたのは、もしかしたら子供の頃から整理できずに抱えていた小さな疑問なんかが関係しているのかもしれないな、と思い当たりました。簡単に言うとやっぱり「社会のあり方」ってことかなって思うんですが。

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 そうしたタイトルを掲げての連載なんですが、内容もそれに沿う形で進む予定です。

 主に「私の生育環境」それ自体、そしてそこから感じた事柄を記していこうと思います。

 話の流れに逆らわない程度に「いかにして私は絵を描き始めたか」みたいな記述も混ざってしまうかもしれません。本来は別にすべきかなとも思うんですけど、文字や言葉を覚える前から私がずっと続けていることですので、不可分だな、とあきらめました。ちょっとゴチャゴチャするかもしれません。

深海クチバシ鮫-ミツクリザメ〔06〕

 電気グルーヴの「マン・ヒューマン」という曲のライブ演奏をネットの動画サイトで聞きました。

 素晴らしかったです。とても重層的に音が鳴っていて、聞くところがたくさんありました。しかし印象としてはミニマルに近いものもありました。大きな焦点に向かって音が収束していくといった余裕のあってちょっとユルめに楽しめる曲だという感想。音楽的には高度だと思いますけど玄人好みには行ってない感じが良いなと思いました。電気グルーヴ開店中という印象を受けました。

 照明やグラフィックもとても良かったです。コロナ渦という事で無観客のライブだったのか、よくわかりませんけど、スタジオライブの特性を活かしたとても良いライブだと感じました。

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 そんな素晴らしい電気グルーヴなんですけど、動画サイト上で、おふたりのこれまでに辿った音楽変遷を語る動画の3本目と4本目が公開されています。

 非常に興味深かったです。

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 イギリスのエレクトロなバンド「デペッシュ・モード」についての愛を語る動画でその思いのタケをうかがいました。

 すごく深くて熱い愛なんだなと改めて感じたんですけど、私個人はデペッシュ・モードについては1ヶの疑問があります。セカンドアルバム以降にかなり音楽性が変わっていくところなんですけど、ファンの方たちはそこに疑問が無いのかな?って思っているのです。しかし石野さんや瀧さん的には疑問というのではなくて、むしろ素晴らしい、デペッシュ・モードの広い音楽性。という捉え方なのだなと学びました。なるほどねぇ。動画を見て内容を知れて良かったです。

 私にとってのデペッシュ・モードって全然悪くはないけど普通のちゃんとした音楽をやっているバンドという位置付けです。私はもうちょっとスットンキョーなのが好きなので。ロバート・レンタル氏とかトーマス・リア氏とかの感じなんですけど。

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 もう1本の動画ですけど、こちらは「ダニエル・ミラー」さんですね。エレクトロなポップ・ミュージック界の巨人。そして「ミュート」っていうレーベルを運営している人です。

 そんな彼へ電気グルーヴが寄せる愛情なんですが、こちらもねぇ。「好き」っていう感情で言ったら本邦では石野卓球氏が一番じゃないかなって思いますけど、マとにかく私は何か言えるほど詳しくはないので学ぶ部位が多かったです。

 でもその動画で一番良かったのは瀧氏がダニエル・ミラー氏と一緒に撮らせてもらった写真の公開でした。

 その時は、折り悪くミラーさんの機嫌があまりうるわしくなかったみたいで、しかもその感情が表情によく出ているっていう、やっぱり人間ですものね。こんなスーパー不機嫌な顔するかねって思いますけど、でもねぇ。ああいう人だと全然知らない人が突然現れて「お前の事をオレは世界で一番理解している」みたいな風に接せられるというった理不尽ももしかしたら多く経験されているのかなって思いました。

 ミラーさんについても私は長年にわたり感じている疑問がありまして、結局どういう人なんだっていう事なんですが。とにかく活躍というか足跡がエレクトロな音楽においては偉大なんで、ホントに人間なのかっていう疑いさえもあったんですけど、瀧氏との写真で全部もうどうでも良くなっちゃいました。良くはわからないけど、こういう人なんだなって。非常に納得しました。

 どんなに偉大でも1ヶの人間なんだなって事ですね。