「イラスト・歴史っぽい」カテゴリーアーカイブ

【曽我物語】トラ悲しみロード〔7〕・玉渡神社

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 しばらくは私の地元の数キロ圏内の名所旧跡巡りみたいになります。

 きのうの「腰掛け石」からどうでしょう。1キロあるか無いか。
 小さめの神社があります。
 コレが、かの有名な「玉渡神社」っていうね。
 たぶん地元の人にもあんまり知られてない。

玉湧神社_2020

 今回、改めて写真を撮りに行きましたが、「疫病収束祈願」のノボリが立ってました。2020年の風景ですね。

 伝説としては、このあたりで夜になっちゃったらしいのです。

 私の想像では、腰掛石(こしかけいし)のところで慟哭のアラシですからソコからしばらく動けるワケもなく、いってるうちに暗くなっちゃって、今晩どうするってなった時にダレともなく「あっこんトコにあるホコラで寝ればイイラ。奥平イラ」みたくなったんではないかと。

 みんなで手を取って案内しちゃってね。

 根は悪い人たちじゃないんですよ。静岡県民、富士市民。クチは悪いけどね。
 あんまり深く物事を考えないんで。
 イイんだかワルいんだか。

 その夜、トラ御前さんが寝ているところに、ふたつの火の玉がトラ御前さんに近寄ってきたそうです。

 これはもう曽我兄弟のミタマに間違いニャ~~!ってんでワッショイワッショイですよ。
 「神社建立するズラ~!」
 「そうズラ~!!」
 「やるズラ~!!」なんていうね。

 現代の世においては若い子たちはあんまり「ズラ」は使わないみたいなんですけど、このコロだと無制限ですよ。カーター・アンストッパブル・ナントカ・マシ~ンですよ。2アンリミテッド。イッツ・アンリミテッド・サプライ・EMI。そもそもダレひとり自分たちがナマってるとも思ってませんし。

 マなにはともかくこの地味な一角に小さいながらも神社が出来ちゃったっていうね。そんなエピソードです。

玉渡神社_16076

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【曽我物語】トラ悲しみロード〔6〕・こしかけ石

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 非情にも愛する人は亡くなっていたという。
 悲しみにくれるトラ御前さん。

 言い伝えによると、しばらく歩いた先にある石に腰を下ろしたそうです。

 きのうのお写真の「ヨヨ・ポイント」からもうスグそこ、100メートル弱の距離です。

腰掛石-みちのり

 これです。「虎御前腰掛石(とらごぜん・こしかけいし)」といいます。

腰掛石_1309240b

 絶対に周囲を取り囲むようにしてオバちゃんやらオバアちゃんやら赤ちゃん背負った子供とかね。
 トラ御前さんが見えなくなるくらい山盛りだったんだと思います。
 私は見てないですけど絶対にそうに決まってます。静岡県民ですからね。

 お写真的には、これが現在の、石がまつられているようす。

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 ちょっと引いた感じはこうです。

 この地点で悲しみにくれるトラ御前さんと、その様子を見て涙ぐみながら「かわいそうに……。ウヴィエェェ……。この子に花嫁衣装……着せてあげたかったよォォォ…オ〜イォィオォィォィォオォィ!」

 なんてね。
 おえつをもらす老婆ですよ。

 その日、初めて出会ったのに異常な共感能力の高さを見せるオバちゃん並びにオバアちゃん。
 絶対いたと思うんですよね。目に浮かぶようなんですよ。

 それと説明の案内板の文字ね。
 コチラもご紹介しておこうかなと思うんですが。

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 今回のエントリのお写真は最近に撮影してきたものと、7年前に撮影したものが混在しているんですけど、説明文は7年前に撮ったものです。
 一応、その当時もツラっと読んで「へー」って思ったんだと思いますが、色々学んで、ほうぼう見て歩いた今読み返すのでは全く感想が違いますね。
 重いですよ。
 ここはトラ御前リボーンの地。再誕生のポイントだったんですね。

 あと知らなかったのは、尼さんになった後にも何回か曽我寺まで来ていて、その際には必ずこの石を訪ねてきたというねぇ。

 おそらくきっと顔なじみで同じくらいのトシ格好のオバちゃんとかいてね。
 「おたがいトシとったねぇ」とか言ってたんでしょうか。

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 一転して、ちょっとだけ私の近況ですが、自転車のタイヤのチューブを交換しました。きのうの夜。
 スローパンクするようになってしまって。
 タイヤを外す時間と、ハメ込むのに要する時間がかなり短くなりました。
 ちょっとコツが分かってきたようです。

【曽我物語】トラ悲しみロード〔5〕・マント・ショー

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 きのうのエントリでの内容ですね。
 そちらをイラスト化しました。
 悲嘆にくれるトラ御前さん。気づかうトラコイシちゃんです。

 若干、ジェームス・ブラウン氏のステージにおけるマント・ショーを意識していますよ。アメリカのソウル・シンガーです。

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 いやしかしね。ショックだったと思うんですけど。トラ御前さんね。
 覚悟はしていてもね。
 もう死んでる。悲しい。
 でもカタキ討ちは完遂してる。立派。
 非常に複雑な入りまじった心境ですよね。

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 きっとねぇ、以下は全部、私の妄想ですけど、橋のたもとで地元の人たちが、ペチャクチャおしゃべりしてたと思うんですよね。

 そこに見るからに旅のヒト、しかも若い女性が現れて、親切がてら声をかけてみたら曽我兄弟に縁のある人だと判明しちゃって。

 瞬間的に地元の衆のテンションも沸騰したと思うんですよね。

 カタキ討ちしたおサムライさんのコレモン(ギュンって小指をたてるジェスチャー)が来たよ!

 見てもいない私ですが地元の人間として言い切ります。

 普段は何の変化も無いこの辺の人たちですから、事件からちょっと時間は経過したとはいえ(3ヶ月くらい経っていたらしい)、コトあるごとに話題にしていた。コレは間違いないです。

 そこに予想外の関係者、恋する若いムスメが来たよ!っていうねぇ。
 もう目に浮かぶようですよ。ツブサに。

 畑仕事してる知り合いを呼びに行っちゃったりしてね。

 「ちょっとー! おツネさーん! おツネさんッ! おツネ! ババア! な~にじゃないよ素朴なハニワみたいな顔しちゃって。大変だよ! 来てんだよ! コレモンが! コレモンティーヌ! 白糸でカタキ討ちして鷹岡(たかおか)でクビはねられた若いおサムライさんいたでしょ~ぉ! あの子のお兄ちゃんの女だよ~! 今! 橋のたもとでみんながお水飲ませてやってるから! 来な!来な! もう何やってんの~~。行くよ~~! おツネさ~ん!」

 なんてね。

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 そんな騒動に合う楽曲は無いかなって私なりに考えたんですけど、ブラジルのロックバンド「オートラマス(Autoramas)」の「マグマ」っていう曲なんか良さそうだと思いますので、ご紹介いたします。
 もう20年ほども前の曲なんですけどね。

 今はかなり別形態になって続いているんですが、私はこのコロが好き。
 ベースのお姉ちゃんが躊躇なくファズを踏んでガリガリ弾きまくります。
 D.D.ラモーンに負けないくらい足を開きますからね。

 ファズ踏むことで低域はガバって無くなってしまうんですがギターが単音弾きに転じる際の音の薄さをカバーできますし、それ込みでドラムのキックの音を作っておいてやればむしろキックのフレーズも映えますしね。モーターヘッド・スタイルとも言えます。

 このバンドはナゼかイギリスのシンセポップ系バンド「ニュー・オーダー」の名曲「ブルー・マンデー」のカバー演奏でも知られているので興味がある方は是非。
 一応、パンクロックのバンドなんですけど時々妙にニューウェイブな感じがあるんですよね。
 ただし「ブルー・マンデー」カバー演奏のコロになるとベースはメンバーが変わっちゃってるみたいで。女性ではあるんですが。
 前任お姉ちゃんの無頼でパンクロックな感じが私は非常に好きなんですが。残念ですよね。

【曽我物語】トラ悲しみロード〔4〕赤い衝撃

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 愛する人を追って鎌倉街道を、テクテク歩いてきたトラ御前さん。

 とある橋のたもとで、地元の人から「曽我兄弟がもうこの世にはいない」と告げられて衝撃を受けます。

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 その時のようすが浮世絵になっています。
 画像をネット上からお借りしましょう。

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 かなり悲しんでいるようすが伝わってきます。

 浮世絵って私が思うに2種類あって、構図や人物のポーズなどが定型化していて様式になっているもの。
 役者さんの大首絵なんかがその例ですね。
 歌舞伎がらみでは数人が横に並んで全体像というか衣装の様子なんかも含めて表現する形態もよく見かけますね。
 あれはきっと当時のアイドルポスターとか、そんな部類なんでしょうね。

 それらとは別に作者が創意工夫して画題に最適な人物配置またはポーズ、全体的な構図をしつらえたもの。
 後のおフランスな印象派の作家たちにも衝撃を与えたような非常に独創的、かつ大胆な構図、そんな一連の試みを含む形態ですね。

 どっちが良いという話では無いですけど、上の浮世絵は後者に属するのかな。と思います。

 描かれている場所、舞台としては伝法沢(でんぼうさわ)にかかる橋のあたりなんだとか。

 「伝法沢」。
 実はココこそがね。私が通っていた中学校の学区内なんですよ。ビックリ。
 もうスグそこの場所。

 こんな田舎(in A.K.A)に、全国的に知られる歴史上の人物の一大事があったとは……。これはビックリしました。

 写真を撮ってきましたのでご覧ください。
 ちょっと手前から行きますよ。

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 こんな地味な風景を世界に向けて発信して良いものか。
 この交差点をまっすぐ行きます。

 ちょっとカーブしてすぐに橋があります。
 ココです。

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 どこにでもありそうな橋ですよね。

 名前はズバリ「伝法橋(でんぼうばし)」です。

 トラ御前さんがヨヨと泣き崩れた、ソノ場所。

 「がっかり橋」とも呼ばれているそうです。
 それは初めて知ったんですが、ちょっとミもフタもない呼び方かなって思います。

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 浮世絵に描かれた画角に合わせるとすればこんな感じですね。

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 浮世絵では富士山が見えてますけど、木が生い茂っていて見えません。

 撮影当日は曇りでしたけど、おそらく晴れていてもムリです。
 実はこの後ろ側に東名高速道路の盛り土やらがあって、高いところを車が走っています。防音壁が見える角度かなって思います。

 ところでこの川ですが、かなり深さがあります。

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 古い沢ですからね。太古の昔から位置は変わっていないと思います。

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 最後に上にあげた浮世絵に戻します。
 実はつい最近、この絵の存在を私は知りまして。

 これを見た時に「スッゴい地元! コレはブログで特集するべきじゃないか!」と思ったのです。

 それまでの間に、意図せず写真素材などを撮りためてあった、という蓄積もあってのコトですが。