さよならをしているトラちゃんたちと、化粧坂の少将さんです。
コレでホントに「トラ御前シリーズ」は終了です。
ありがとうございました。
やり残したコトはないのか?
自分でちょっと不安ですけど。
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と、書いておきながらの追加情報です。
「歌碑」の写真です。
これはトラ御前さんと化粧坂の少将のふたりが詠んだ歌を彫り込んだものです。短歌なのかな?
富士市内の曽我寺にあります。
上の写真を撮ったのは7年前なんですけど、当時は何の意味があるのかもわからず、よって漠然としたようすのみを押さえるモノにとどまっておりました。
しかし若い女性ふたりが、愛する人を失った際に詠んだ歌が刻まれているのだと、最近に知りまして。
歌碑が作られたのは昭和30年代ということですんで、曽我物語の800年の歴史を思えばかなり最近のものなんですが。
とにかく数日前の日曜日、天気が良くなってきたので行ってきました。
文字の判別が非常にキビしい。
そこで画像操作でがんばってみました。
これでもまだ分かりにくいですね。
右側の歌がトラ御前さんで、左が化粧坂さんです。
文面についてはネットで知ることができます。
引用します。
トラ御前の歌
「露とのみ 消えにし跡を来てみれば 尾花かすえに 秋風ぞ吹く」
化粧坂少将の歌
「捨つる身に なほ思ひ出となるものは 問ふにとはれぬ 情なりけり」
文面を知った上で画像を見ていくと、確かにそう書いてあるな。なんて思います。
私の素朴な感想を言うと「歌とか詠んでる場合なのか」って思いますけど、そういうんじゃなくて歌の心得がある人はその時々の思いを歌のカタチにしていたのかも知れません。
まぁトラさんの歌に関して言えば、5月の末に兄弟と別れてから三ヶ月ほどしてその後を追って富士あたりに来たっていうコトですから、詳細不明とはいえ、9月のアタマかそれ前後。秋風むなしく身に受けて、ゆれてちぎれる我がココロみたいなね。そういう心情なのかなと思いますけど。
関係ないですけどラジオの話題です。
あすのNHKラジオ第1「らじるラボ」のゲストは歌人の俵万智さんだそうです。
私、実は俵さんを目撃したコトがあるんですよ。
見間違えでなければ。
東京に住んでいた折ですけど、イラストのお仕事の打ち合わせでした。
新宿の駅の近い場所に喫茶店「滝沢」っていうのがありまして。昔ね。
正確には「談話室・滝沢」という店名だったかもしれません。
新宿に2店あったんですけど、東と西にね。
その時は西口の方でした。
割と文芸とか書籍編集だったりする業界内で重用される喫茶店でして、そうだ。説明しないとわからない。
かなり落ち着いた大人の雰囲気のお店だったんですね。
特に平日なんかだともう社用でビジネスの話をする人の濃度というのが高かったと思いますが。
かなり古臭いんですけど昭和の中期の上品さが色濃く出た内装だったと記憶しています。私は東口の方が好きではありましたが。
そこでお仕事の内容を伺ったり、私に何ができるかなと思いをめぐらせたりしたりして、ちょっと頭を上げたその先に俵さんがいらして、やっぱり何か会議中? 懇談中だったのかもしれませんでしたけど、ちゃんと見たワケではないので、とにかくまぁそんな雰囲気でした。
その一瞬だけだったんですけど、思い出です。
なんかいかにも居そうな場所にそういう人が座ってらっしゃったという。
そういう、うれしさですよね。