P.K.ディック短編『ヤンシーにならえ』再読

100727_yan_sie.jpg
 昨日の高原遠征ですっかり生気を使い果たしたので、今日は寝てばかり。
 読書をしました。

 といっても、読書にかけるパワーもあまりありませんので、短編です。
 『ヤンシーにならえ』小川 隆 訳
 ディックの短編集『ゴールデン・マン』の一編です。雑誌掲載が1955年。ディックが短編を量産していた時期の後期にあたるでしょうか。しかし掲載されるまでにタイムラグがある事も普通なので、もっと前に書かれたものかもしれません。お話の筋は実にストレートで分かりやすいものです。
 「もっと物事を疑ってかかろうじゃないか。」というディックの提案のように受け止めました。
 非常に緩やかな思想統制の物語でしょうか。そういった社会を描きつつディック自身が読者を啓蒙するという構造が面白いな、と思いました。
 この小説で描いた、ウソの喧伝と言うアイディアが気に入り、後にディックは、長編『最後から二番目の真実』という小説を書いたのだと語っています。そちらも読み返してみようかと思う私でありました。