安部公房『壁』再読中です。

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 何の気無しに読み始めました。
 おもしろいです。

 気に入った小説は何度も読み返すタチです。
 特にお気に入りなのは、フィリップ・K・ディックと、安部公房。

 もしかしたら、残りの人生、小説はこの2人の著作を読み返すだけでも充分かもしれない。そんな気もします。
 最近の期待は、ディックの新刊が6月に出ること。ワクワクしています。ディックという人も不思議な人で、今更、新訳が出るお話なんてそれほど優れてはいないハズ。それでも未読のお話には興味が尽きないのですね。ファンとしては…。むしろ、どれほどヒドいのか期待してしまう向きもある。ちなみにディック。未訳の小説はSFに限るとあと数冊です。作者本人が認める程にヒドい話はヒドい。にも関わらず、異例な程の翻訳率の高さだとか。私もぜひ、全作に目を通したいと熱望する者の一人です。どうかこの願いがかないますように。

 すっかりディックに話の筋が傾いてしまいましたが、安部公房です。
 どうなんでしょうね。安部公房。私には難しい事は分からないので、自分に分かる範囲で言うと、とても面白いお話を書く人です。多くの小説において笑える部分やユーモラスな描写が見られます。皮肉とか冷笑とかも多いのかな。
 で、『壁』なんですが、まだ途中。第1部の『S・カルマ氏の犯罪』、裁判が終わったあたりです。このお話もおかしくて、吹き出してしまう箇所が多いのですが、薄皮1枚下には、何とも言いがたい不気味なうねりみたいな物も感じられて、読み進めるに戦々恐々という感じでしょうか。
 この2〜3日のうちに読み終えてしまうつもりです。