イタチ帝国〔13〕

 今日のラジオ日記です。

 「はじめてのジャーマンロック」という企画を聞きました。

 クラフトワーク来日を記念したものでありました。

 NHKラジオ第1「ふんわり」より。

 木曜日パーソナリティは俳優の六角精児さん。六角さんと親しい音楽ライターの北爪啓之さんの解説と選曲による1時間でした。

 かなりちゃんとした解説でありまして、私自身けっこうジャーマンロックは聞いているつもりなんですけど勉強になりました。

 流れた楽曲に対する六角さんの感想も意外に的を射たものであってさすがに日常的にいろんな音楽を聴いている人だけあるなと感じました。

 流れた楽曲のリストを記しておきます。

 ジャーマンロックを6ヶの要素に分けて理解しようという内容です。

  ★電子音楽

   クラフトワーク「アウトバーン」

  ★反復、ミニマル、現代音楽

   ノイ「ハロガロ」

  ★サイケデリックカルチャー

   グルグル「ボ・ディドリー」

  ★異種交配

   カン「ムーンシェイク」

  ★トランス感覚

   アシュラ「サンレイン」

  ★ドラマ性の薄さ

   クラスター「ファー・ダイ・カッツ」

 なるほどね、っていう過不足ない選曲ですね。

 NHKラジオは楽曲をフルサイズで流すことが多いですけど、さすがにジャーマンロックについてはそれは無理なので短縮して放送されました。

 ちなみにここで語られる“ジャーマンロック”とは、1960年台末から1970年台前半のドイツにおけるロックのフィールドのありようであって、ジャーマン・プログレと同義。狭義のジャーマンロックでありますよというご案内でした。

 なぜ当時のドイツでこうした動きが見られたかというと、クラシックの伝統がある。そこからの現代音楽。特にカールハインツ・シュトックハウゼンさんからの影響が大きいという解説でした。

 さらに北爪さんご自身の考察としては、ラジカル。ナチズムへの抵抗。敗戦国。英米に対する独立性。などの要素が挙げられました。私も同意見です。

 クラフトワークのメンバーのインタビューなんかを読んでもだいたいそういうことが言われているので正しいんだろうと思います。

 そのほか、フリージャズ、民族音楽などからの影響ということでした。

 良い1時間でした。

 そうそう。私は1週間くらい前の当ブログにおいて「クラスター II」は放送されないんじゃないかと書きましたけど、「ファー・ダイ・カッツ」が流れましたので、予想は外れました。

 クラスターは長い活動歴を有するバンドであって、音楽性としては徐々に変わっていって、中にはかなり聴きやすいものもあるので、もしもかかることがあったらそっちかな、と予想していました。

 次に似た企画がある時にはメビウス氏参加の「ゼロ・セットよりスピードディスプレイ」なんかもかかるかもしれません。

 アシュラの「サンレイン」がかかったのには感激しました。

 良い曲です。

 電気グルーヴの石野卓球さんも好きだという楽曲です。

 電気グルーヴの楽曲には「気持ちのいい曲路線」がありますけど、聞いているともしかしたらアシュラというかマニュエル・ゲッチングさんからの消化なのかなって思います。最近の曲ですと「ホームベース」とかですかね。高揚感の中にユーモアがにじみ出ていて非常に良いと思います。

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 番組の話題に戻しますが、10時台は六角精児さんが選曲した「ドイツじゃないけどドイツっぽい曲群」というのも聞きました。

 ビールやジャガイモに関する曲など。

 ここで唐突ですけど私自身の企画。久しぶりに「オール・ザ・ヤング・シンセポッパーズ・イン・80’S」なんですけど、My Pierrot Dollsというバンドの楽曲「Picture In Oils」をご紹介いたします。

 楽曲に「ビールの要素」は一切ないんですけど、この人たちはビールを作って売ってるらしいんですよね。

 サウス・ヨークシャーのロザラムっていう都市があるんですけど、シェフィールドから東北方向へ10数キロって感じですかね。だからかしれませんけどヒューマンリーグ的なメロの強さであるとか、そこにデペッシュモードを混ぜた感じかなって私は感じています。

 ネットの動画サイトでほかにも何曲か聞けると思いますけど、どの曲も割と良いなって思います。

 サムネで若い頃のメンバーの写真も見れますし、今現在のメンバーの姿も確認できます。「80年代初頭に若者だった人が今じゃこんなに…………」という現実にぶち当たる感じ。

 私の思うところメンバーのうち3名くらいは兄弟じゃないか、あるいはご親戚っていう気がします。似てるんですよね。

 ビール造りもたぶん家業なんでしょうね。

 彼ら自身の音楽的な認識としてはシンセポップのバンドでもあり、そしてまたパンクロックにも近いという気持ちがあるみたいです。

 彼らの農場の空いたスペースに音楽を演奏できる場所を作っていて、要するにそこでお客さんにビールを販売しているみたいできっとおいしいんだろうなって思いますけど、けっこう往年のパンクバンドも出演しているみたいですので本当にパンクロックは好きなんだろうなって思います。まぁ同年代ですからね。みんなね。

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 六角さんの選曲としてはポンチャックもかかりました。

 李博士(い・ぱくさ)さんの楽曲を聞きました。楽しいですね。

 ポンチャックは韓国の音楽であって、早めのディスコビートにのせた電子キーボード主体の作られ方が特徴だと思います。

 ただし色々と聞いていくと実のところポンチャックに似た音楽って東欧から中央アジアまで発見できるんですよね。

 こんなところまで読んでくださっている方がいるかわかりませんけどご紹介しておきましょう。

 キルギスという中央アジアの国の人でキーボードを弾きながら歌うОрозбек Сапаровさん。

 ネッドの動画サイトで検索する際は「Орозбек Сапаров ___________ █▬█ █ ▀█▀ жандуу ун менен эззип койду!!!!!!! Попури」というのが良いかもしれません。

 もっとちゃんとした動画もあるんですけど、地域の集会所に呼ばれて演奏しているところなのかな?という風景が見れます。小さな子供が遊んでいたり、ちょっと音楽に合わせて踊ったりして楽しいです。中央アジアの人たちの生活が垣間見られるようです。

 1曲だけですと類例になりません。

 もう1ヶいきましょう。

 ポーランドの95年作、Cinzanoっていうハンサムな男性ふたりによる楽曲「Dzikie bzy」です。

 写真を見ると若い人の音楽なのかなって感じなんですが聞いてみるとメロ回しといいバックの刻み方といいポンチャックへの接続を感じるには充分ではないでしょうか。

 あと、日本産ですと「にゃんぷりーと」っていうユニットによる楽曲「恋のブログはポンチャック」というのもあります。13年作。楽しいですね。

 最後にやっぱり韓国に戻したいんですけど惜しいことにですね。私が10年くらい前に発見したおすすめ曲っていうのが消えちゃってまして。残念。

 吉幾三さんに似た声帯をもつハイテンションな男性歌手によるポンチャックだったんですけど、けっこう韓国のポンチャック業界も競争が激しいのかわかりませんけど、なくなっちゃう動画も多いのかなって思います。

 本日は以上です。ありがとうございました。