セキセイインコ帝国〔19〕

 2羽のインコさんが並んでいるイラストです。

 青いインコさんが黄色いインコさんの頭をコリコリしているところです。

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 以下はラジオ日記です。

 NHK・FM「吹奏楽のひびき」。今日は「鳥の声」というテーマ。最後にかかったマーチは、マーチでありながら3拍子になるところがあるという面白い曲でした。渡部哲哉さんの作曲で「ジョイフル・ポケット」という曲でした。

 また番組中でパブロ・カザルスさんの演奏と編曲による「鳥の歌」の言及もありました。スペイン出身のカザルスさんの平和に込めた願い。「私の生まれ故郷カタルーニャの鳥は peace、peace と鳴くのです」という言葉が残っているわけなんですけど。

 実は私はパブロ・カザルスさんの「鳥の歌」が入っている米ホワイトハウスでの演奏を収めたCDというのを持っています。もうずいぶん昔に故・筑紫哲也さんの番組か何かで存在を知って感激して買ったんですが、買ってからはそんなに聞き込んだわけでもないって感じなんですけど、今日は久しぶりに聞き返しました。イイっすね。

 飛びますけどスペインといえばこの前のNHK・FM「クラシックの迷宮」で聞いたエドゥアール・ラロさん作曲の「スペイン交響曲」ですけど、名演奏家との出会いが契機となって生まれた名曲っていうことなんですけど、わからないなりに聞いていても「人をひきつける曲だな」って思いました。スペインだったりドイツだったりの作風を押し出し始めると俄然魅力的な響きが流れ出してくるところは興味深かったですね。しかしラロさんは作曲活動に入るのが年齢的にちょっと遅かったかもしれない。あとに続く傑作がもう少し残せたのではっていうような結びだったと思います。

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 変わりまして、同じくNHK・FM「現代の音楽」。

 今日は毎年恒例の「四人組コンサート」。その前半。3曲聴きました。

 金子仁美さんの「炭酸 3Dモデルによる音楽XIV」。最近の金子さんが取り組んでいる分子構造の3Dモデルを着想の原点にした作品。

 以前に聞いた「H2O(水)」という曲においては私の思い込みかもしれませんけど分子構造をくるくると回して眺めているようなイメージを捕まえることができて嬉しかったです。ヴァイオリン甲斐文子さん、ピアノ大須賀かおりさん。このおふたりというのも気づけばずいぶんと色んな曲で演奏を聞いているような気がします。

 戻しますけど今回の金子さんの曲「炭酸 3Dモデルによる音楽XIV」。

 こちらはまた意欲的な編成でオンドマルトノとトロンボーンの曲でした。どちらの楽器についてもそこから出せる様々な音の可能性を楽しむことができました。

 番組を解説する西村朗さんの言葉に集約されるかなって思うんですが、単音と長音の組み合わせによる発展という曲だったと思います。

 やはり私は電子楽器は好きですのでうれしかったです。オンド・マルトノの大矢素子さん。よかったです。

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 西村朗さんの曲は「キールティムカ」。ユーフォニアムの外囿祥一郎さんと、マリンバの西久保友広さん。このおふたりはデュオを組んで普段から活動しているんだそうです。

 「キールティムカ」というのは東南アジアにおける鬼瓦のような存在なんだそうです。ネットで検索してみますと確かに「鬼瓦」としか言えない。しかし壁を飾る石の彫刻だったり、屋根に乗せる焼き物だったりするようです。大きく「邪気を払う」存在なんでしょうね。

 西村さんとしてはそうしたキールティムカの造形そのものを曲にされたそうで、きびしい眼光であるとか、角(ツノ)。ゴツゴツした顔全体の構造、そしてなんでも食べちゃうような歯などの印象。諧謔性にもふみこんだという作曲家ご自身による解説でした。

 聞いてみますとまるで一匹のキールティムカがのそりのそりと現れてくるような情景が目に浮かんできました。ここは楽しかったですね。

 マリンバの音の感じがなんとなく東南アジアを思わせて良い舞台説明だなと感じました。

 しだいにキールティムカの顔の造形の様々な部位に着目して音の表現としているのかなと思えてきました。

 曲を聴いている段階では実在のキールティムカの顔のイメージはわからなかったので、私が思い浮かべたのは去年に三島市のお寺「龍澤寺」に行った時のお寺の門の上の方に据え付けてあった木彫りの像です。

ゾウの像ですよね。多分。

 大きなカーブでノミで削った造形だとか、細かく削ったスジ彫りであるとかのイメージを曲を聴きながら思い浮かべました。

屋根の下の高いところの左側に木彫りのゾウがいました。正面は狛犬みたいな像が生えていました。(左右に1体づつ)

 さらに実在のキールティムカを確認してみますとこれは非常に凝った造形物で、細部が迷宮みたいになっているのです。なるほどこういう構造を音にすると今回の曲のようになるなと納得した次第です。

 それでいて「諧謔性」という側面。ちょっとオフビートな感じ。怖すぎる表情が、かえって笑いを誘うというようなそういう部分はおふたりの演奏家の息の合った演奏、それとユーフォニウムの持つキャラクターから滲んでいると思いました。

 最初に聴き始めた時に「良い録音だな」って思ったんですけど、そもそもこういう活動をしている人がお持ちの楽器自体がすごく良いものなんですよね。去年に静岡県内のホールで消火用の水が楽器を濡らしてしまうという事故がありまして被害総額が億越えだと聞いて仰天したんですけど、みなさん美しい音を求めて投資されてるんですね。頭が下がります。尊重したいものだと思いました。

 また西村さんの過去の曲「極光」におけるトランペットの使い方と今回のユーフォニウムのあり方の似ている部分と違う部分を確認するべく聞き返したりしました。

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 最後の曲は久石譲さんの曲「揺れ動く不安と夢の球体」。2台のチェロの演奏でしたが、曲自体は以前から存在していたものでギター用であったものをチェロ用に組み直したっていうか、ほぼ別の生命力を発揮する存在になったというような久石譲さんご自身のコメントが紹介されました。

 この曲も演奏が素晴らしくて聴き終えて思わず拍手をしそうになりました。

 古川展生(のぶお)さんと、富岡廉太郎さん。

 久石さんのこのミニマルで押してくる感じを堪能いたしました。

 私としてはシーケンスフレーズを刻々と変化させていく、パラメータの細かな調節みたいなイメージで聴ける部分もありました。

 せっかくですので今日の番組を録音しておいたものを聞き返しているんですが、どれも良い演奏でした。

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 午後は昼寝をしてしまって「ディスカバー・カーペンターズ」を聞けませんでした。これから聞き逃しサービスを確認しようと思います。