TROMS〔06〕悪夢

 私のその後の音楽嗜好を決定づけたんじゃじゃないかと思っている“音”があるのです。以下に記述します。

 新幹線の線路のソバに住んでいましたから、相当にうるさかったと思うんですよね。

 遮音壁もなくてモロに聞こえてくるワケですから。

 しかし起きている間は気にならないと申しますか、子供はだいたい動くものが好きですから、むしろ楽しみにしているんですね。新幹線の来訪を。

 一方で幼児はよく寝ますから昼間も寝ている場合がある。その時に布団に耳をつけながら体感していた新幹線のレールの響きですよね。この体験に何かあるのではと。

 ハードコア・パンクという、とても騒々しい音楽が私は好きだっていうのは、この生育環境があったからでは……と思っているのです。

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 10歳くらいまでとても怖い悪夢が私にはありました。

 泣いて目がさめるくらいの夢でした。

 そのビジュアルイメージをカタチにしたものが上掲のイラストです。

 なにかおっきいものが徐々にゆっっっくり近づいてきて、正体は真っ黒くて大きなンゴゴゴゴゴとした貨物列車なのです。それがジリジリと動いていく感じです。

 それだけのシンプルな夢。

 それだけなんですが非常に怖くて、「見そうだ。あの夢」なんていう日には眠るのが怖い。

 白黒のトーンの夢なんですけど、思うに戦争の悲惨な白黒写真のイメージなんかも混ざって、さらに怖い印象が増大していたような気もします。何か恐ろしいものが列車に詰め込まれているように感じたのかもしれません。

 そういう黒くて大きな存在感なんかも私の持つハードコアパンクの音像のイメージにつながるところもありますので、もしかしたらなぁ……と考えているという。今日はそんなお話でした。