TROMS〔02〕新幹線を待つ日々

 私が生まれたおウチの窓から見えた風景についての記述をします。

 私は、幼稚園に通い始めた頃まで、そこに住んでいたんですが、今は「新富士駅」という新幹線の駅が建っている場所の近隣です。

 このころはまだ「新富士駅」の建設以前でした。

 新幹線の線路の両サイドに遮音壁が設置される前でしたので、家から新幹線が丸見えでした。

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 今でも周囲に人家が少ない場所においては新幹線の姿がモロに見えると思いますけど、当時はまだ新幹線開通からもあまり時間が経過していなかったので、わりと密集した地においても後回しになっていたのかなと思います。

 1歳違いの妹とよく外を眺めていて、黄色い新幹線が走っていくのを見たりしたら母親に報告していました。

 子供は報告したがりますからね。

 母親からは「新幹線の線路に近づいたらダメよ!」と何度も言われました。

 しかし幼児の距離感覚ではかなり遠くに見えていたので「お母さんは大げさだなぁ」と思っていました。

 住んでいる家と線路の斜面の間には田んぼがあって、幼児の目には、はるかかなたの遠い場所。という気持ちでいました。

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 大人になってこのあたりを再訪しまして。「確かこの辺だ」とウロウロして「お! ココっぽい!」って地点を発見したんですが、思っていたよりも新幹線の線路との距離が近くてビックリしました。

 「これは大人の感覚だと子供に何度となく注意するのもムリはない」と納得したのでした。