地獄の鬼さん〔03〕

 舌を抜かれるムシ氏の姿を考えてみました。

 大変に悲惨な状況なんですけど、コミカルにまとめてみたつもりです。

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 1ヶの告白をします。

 私が影響を受けた作家のお話になります。

 みなさんは「マーク・バイヤー(Mark Beyer)」っていうイラストレーターというかマンガ家の存在をご存知でしょうか。

 画像を見れば「これか!」って方も多いと思います。

 特に音楽がお好きな方には多いんじゃないでしょうか。洋楽ね。

 非常に独特な画風です。

 私が初めて知った時は高校生の頃でした。

 雑誌「イラストレーション」という専門誌がありまして。近年まで存続していたらしいのですけど、高校生の頃に何冊か買ったのです。

 当時、イラストレーターになりたかったんですよね。私。

 建築業界に進むかどうかで悩んでいた時もあったんですけど、数学が一切ダメだったんで、こりゃムリだって判断に至り、イラストしかないかなって心境で。でも実際は全然たいしたものは描けなかったんですけど。

 そんな時に接したマーク・バイヤーさんの画風なんですけど、一見は可愛らしいですよ。胴体についている模様とかがポップだし。すぐに気に入ったんですけど、描かれている状況とか心境は非常に救いのないものなんですよね。

 これが非常に衝撃的で。

 なんで状況その他も可愛らしくしてくれないんだ!と、不満だったんですが、ある面において非常にリアルに人間社会を表現しています。「人生とは」とか考えさせられちゃう感じで。

 今回、改めてバイヤーさんのインタビュー記事などを読み直したんですが、非常によく物事を考える人なんだなと思いました。

 それだけでなく生まれた場所であるペンシルベニアから西海岸のサンフランシスコまでマンガ活動のために引っ越したり。かと思えば新しいマンガ・ムーブメントに触発されてニューヨークに赴いたり。行動力もあるんですね。

 記事の中でおっしゃっていることも、もしかしたら他の作家たちと議論を重ねた上で醸成されたものなのかもしれないな、という感想もあります。

 すごくシャイだとも伝えられていますけど、気心の知れた人たちに対してはそうでもないのかもしれません。

 バイヤーさんの活動、作風は、分類すると「アウトサイダー・アーティスト」に属するみたいです。

 その界隈の人たちって「死後に大量の作品が発見される」というパターンがママあるんですけど、私の感想としてはバイヤー氏。画風こそ風変わりですけど、作家としてのパワー、活力という意味では普通以上にあるなと思います。

 「アウトサイダー・アート」でひとくくりにされがちかもしれませんけど、個別に見ればやっぱり様々で、みな独自の性格、性質を持っているのでしょうね。

 そんなワケでバイヤーさんのインタビュー記事には多くのことが述べられていて、どれもが興味深いと思います。しかし40年前のご心境ですからね。

 どうやらバイヤーさんは近年に最後の作品を仕上げたみたいで。今は引退されたのかと思いますけど、今現在の心境にもとても興味がありますね。

 ちょっとそれましたけど要するに、私はこの高校生の頃からバイヤー的な世界というのをずっと持ち続けています。正確に言うと咀嚼できないまま異物としてあったという方が正確かもしれません。

 しかし今、準備を進めている「地獄な世界」ですね。コレを描くことで自分なりに昇華できるのかな、という期待を持っています。

 ただし、今回のブログ・イラストに掲載しました通り、私が描くともう全然、別のものになっちゃうんですよね。影響はされているよなって。自分では思うんですが、どうなんでしょうかね。