うしろむきのトリ

tori_usiro

 きのうはブログをお休みしてしまいました。すみません。
 あいかわらず忙しいです。

 以下はラジオ日記。NHK・FM。午前の番組「世界の快適音楽セレクション」を聞きました。
 デヴィッド・ボウイの曲のカバーを聞きました。「ディス・イズ・ノット・アメリカン」。イタリアの女性歌手の方の歌唱。

 イタリアについては数枚のプログレッシブ・ロックのアルバムでしか私は知らないのですが、けっこう歌い上げるのが好きなのかなっていう印象です。
 今日聞いたアリスという名前の歌手でシンガーソングライターの方もやっぱり歌い上げる系でした。それがちょっと楽しかったです。しかしこれ見よがしにララ〜♪っていう感じではなかったです。

 しかし本日は何と言っても冒頭で聞いた電子音楽。69年の作。
 アリス・シールズ氏「ダンス・ピース・ナンバー3」。コロンビア・プリンストン電子音楽センターでの録音。RCAシンセサイザーですよ。
 シンセの歴史を語る際に「昔のシンセは部屋1ヶ分くらいありました」ってよく言われるんですけど、この機械群なんかがまさにソレ。モジュール形式でラックにおさまってる感じの。放送機器とかに合わせたんだと思いますが。

 非常にしっかりしたアタックであったり充実した音色が出ていました。ノイズにも躍動感があって大変にけっこうでした。
 なぜこんなに喜んだかというと、実は個人的にユーピックを使った音楽をネットの動画サイトで調べて聴くという活動をしている最中だからです。
 たまたま聞いた湯浅譲二さんのユーピック作品が素晴らしく美しかったので引き込まれた感じです。
 興味は前からあって聞きたかったのです。

 ユーピックというのは簡単に言うと音楽用のコンピューターです。こっちも古い。RCAシンセに比べればかなりモダンではありますが。ちなみにRCAシンセはアメリカ。ユーピックはフランス。この戦後に立ち上がった電子音楽の潮流と2大陸と島国(日本)っていうのが対比が鮮やかで私の興味は尽きないのですけどその辺はいずれまた。

 ヤニス・クセナキス氏の作品を聴いたのですが、素晴らしかった。
 曲の再生と同時に作曲に使った図形楽譜も合わせて見せてくれるという親切な動画でしたけど、ユーピックが読み取れる画像が非常に解像度が高いものだったと知って衝撃を受けました。まぁ楽譜の実物の大きさがわからないのでなんとも言えない部分もあるんですけど、写真で見るタブレットの大きさはそんなのでもないのでけっこう手先でシコシコと描くという感じを私は想像しています。ともあれ想像していたよりもかなり細くてほとんどペンによる細密画みたいな楽譜でした。
 クセナキス氏の描画と出音の相関性に対する嗅覚の鋭敏さとそれを音楽的アイディアとして組み立てていく手腕にも非常に驚いたんですが、その辺もいずれまた。

 嶋津武仁さんという作曲家のユーピック作品も聞きました。三味線を合わせたもの。これがまたカッコ良くて。同音程でベンベンベンベンって流していくトコロが衝撃的にカッコよかったです。

 調べてみたらお生れとしては静岡は下田の人だそうです。甲斐説宗さんに学んだこともあると書いてあって、つい先日NHK・FM「現代の音楽」で知った甲斐さんとつなげることができました。

 この調子で10年くらい「現代の音楽」を聞いていれば現代音楽の中の様子が私にもわかってくるかもしれません。クラシックとかジャズの世界は“ダレソレ氏に師事”っていうのが明らかにされるので、人のつながりとか地図みたいなものがつかみやすくて良いですね。

 嶋津武仁さんの他の曲も聴いてみたんですが、小さな女の子の死に捧げられたレクイエムというかエピタフなんですけど、非常に悲しくも美しい曲で涙しました。
 曲としては少年少女の合唱にチェロが絡むという、組み合わせからしてヒトの情感にダイレクトに訴えるもの。なんかもうコンピュータを駆使した電子音楽を探していたはずなのに、結局はヒトのチカラの素晴らしさに全部吹っ飛んでしまった半日の音楽の旅。出会いでした。