ヤマアラシ帝国〔19〕

 NHK・FM「ジャズ・トゥナイト」を「聞き逃し配信」で聞きました。“名盤誕生日”の企画。ソニー・スティットさんとオスカー・ピーターソンさんのトリオ編成のアルバムを丸ごと聞きました。スティットさんはチャーリー・パーカーからの影響が大きい人なんだそうです。渡辺貞夫さんなんかにも似ている感じ。ようやくパーカーさんと渡辺さんの関係が理解できました。遅くなりましたが私が死んじゃう前にわかって良かったです。アルバムの感想としては全曲良かった。

 番組後半でかかった新譜のコーナーも非常に良くて今回は全編良かった。どの曲にも興奮がありました。しかしやはりメアリー・ハルヴォーソンさん参加のTomeka Reid Quartetは特に良くて15分の曲を聞きましたがアッという間。ドラマーはトーマス・フジワラ氏。この人はたぶんハルヴォーソンさんと良くやっている人。コード・ガールのメンバーとして私は知りました。ワイルドな風貌の人でその印象通り激しくも叩ける人でもありますが繊細な表現も奥行きがあるっていう振り幅広くそれがシームレスにつなげられる力量の持ち主じゃないでしょうか。今日聴いた曲なんかもそんな感じで。素晴らしい演奏でした。文句のカケラもございません。

 このラジオ番組「ジャズ・トゥナイト」においては先々週でしたか。「北海道ジャズ」というのも聞きました。そこで聴けた「トータルノックアウト」というバンドの新録音は良かったです。立体的な演奏というのでしょうか。いかにも大友良英さんが気に入りそうなバンドだとも思いましたが、顔見知りだということで特別にラフミックスでの音源提供でありました。朝に採れたばっかりのお野菜が竹で編んだザルの上にボンボンと載っかってキラキラしているといった印象を受けました。ラフとはいえ主眼は打ち出せているミキシングだったのではないかと思います。

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 伊集院光さんとアナウンサー礒野佑子さんの番組「伊集院光の100年ラヂオ」を同じく「聞き逃し配信」で聞きました。

 ラジオドラマ「君の名は」。伝説的な作品ですが、録音としてはほとんど残っていないのだと知りました。そうなんですね。

 わずかに残っている部分を聞けましたが、文体の素晴らしさに感動。名文家ですね。脚本家の菊田一夫さん。見事なものでした。

 番組の作りとしては菊田さんの意図であったという「人々に残る戦争の影」という面を大事にしつつ恋愛感情を絡めたドラマチックな人と人の交錯を伝えていただけました。

 伝説として伝わる「女湯から人がいなくなった」というのもムベなるかなって感想が実感をもって理解できました。

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 NHK・FM「出会いは!みんようび」を聞きました。こちらはリアルタイムで聞きましたが、「聞き逃しサービス」でも聞きました。

 今日は「島根県の民謡」。非常に興味深いわけですけど、楽しい回でした。人々の楽しい顔、表情が浮かんでくる曲が多く聴けたと思います。

 どじょうすくいの「安来節」なんかがまさにそんな感じ。あれって島根のものなんですね。

 いずれも島根にゆかりのある方の歌の録音で聞きましたが、特に隠岐という島における民謡の豊かさを学習しました。なんでも港に停泊する遠く離れた土地から来た船員さんたちが伝えた民謡が今も歌われているのだそうで。

 「キンニャモニャ」という曲は元は熊本から伝わったものだということでしたが、とりわけ楽しくて、曲中「みんな寄っといで」という内容の“はやし言葉”がかぶるもの。人々の集まりの中で演奏されるにふさわしい「楽しもう!」という気持ちがストレートに表現されていると感じました。

 番組中、進行役の森口博子さんが「こどもの宿題の民謡があれば」という破天荒な提案を相手役の浅野祥さんに対してお願いする局面あり。「新民謡」があるくらいですから「令和民謡」があっても良いわけですよね。古きを知り新しき創造に躊躇しないという姿勢はあってしかりなんだろうなぁと感じましたが、言うにしてももう少し考えても良いのではとも思いました。まぁどうなんでしょうか。