クワガタムシ帝国〔31〕

 今日のお昼にニュースで知ったのですが、またもや食料品が値上がりするそうですね。

 「もう我慢できない! かくなる上は国家転覆だっ!」と思い立ちましてダダッと家を飛び出してお店でカッパえびせんを買ってきました。

カッパちゃんのトボけたツラに腹が立って仕方ありませんが、カッパに八つ当たりしても事態の打開につながるワケもなく、やり場のない怒りをどこに向けて良いのやら。悄然とするばかりです。

 なんとエビせんちゃんが値上がりするらしいのです。

 一応書いておきますが写真中央の山は富士山です。雪がもうすっかり吹き飛んじゃってね。いやはや。気温的にもかなり暖かかったですし、平野部でもけっこうな風がふいてましたから当然でしょう。それと今こうして写真を見返してみると夕刻近い時間でしたのでちょっと赤くなってきてますね。これはもう少しこの場でネバって紅色に焼けた富士山の姿を押さえておくべきだったかもしれません。後悔先に立たずですよ。

 戻しますけど、これまでずいぶんムリをして買ってきたエビせんちゃんですが、これ以上の値上げは許容できません。

 「つらいお別れを告げるしかない……」。

 出会いがあれば別れもあるワケでして50年にわたるエビせんちゃんとの付き合いもこれまでです。

 私にもしも孫が生まれたらお祝いとして買うかもしれませんけど、孫が生まれるためには私の場合まず子供が必要です。

 電撃的に配偶者との出会いを得たとして、そこから長くてツラい不妊治療の後にようやく子供を授かったとして、その子がまた私みたいに60前まで独り者だったらどうするんですか。

 頭がボーッとしてきますよ。

 ザッと計算して私が120歳前後にならないとこの手に孫を抱くコトはムリです。普通はもう死んでるっていうか「はい? ドチラさんですかいのう?」みたいな感じで認知することすら手遅れっていう状態。そこまでしてカッパえびせんを食べたいとも思いません。もう自力でお店に行けるパワーも残っておりませんでしょうし。サイボーグとして第2の人生のスタートを切っていれば別ですが。

 つまり現実的に考えればこれから先の数十年。私は死ぬまでカッパえびせんを食べるコトはないと思いますが、せめてあの世で、せめてあの世で、カッパえびせんを楽しめれば良いなと思います。

 安く売ってれば良いですけどね。

 おそらく死後の世界もセチガラいと思うんですよね。

 出るのはため息ばかりですよ。やれ…………やれ。