テリアくん〔03〕 

 ラジオ日記です。

 小柳ルミ子さんの「瀬戸の花嫁」を聞きました。

 NHKラジオ第1。「ごごカフェ」。

 瀬戸内海の事情に詳しい武内陶子アナが「島から島へと船を手で漕いで移動している感じがする」と力説しておりました。

 手漕ぎの根拠は曲の中で印象的に繰り返される「ポ~ウ」という音。断じてモーターなどではないとおっしゃるのです。変に説得力がありますし、確かに手漕ぎ。もしくは忙しくない静かな感じですよね。

 あの音はコンガの「ムースコール」という奏法なんだそうです。

 もうずいぶん昔に「タモリの音楽は世界だ」でしたか、斉藤ノブさんが実演しているのを見て聞いて非常に驚いた記憶があります。

 私にとってはスティーヴィー・ワンダーさんの「You’ve Got It Bad Girl」とかですかね。ワンダー氏はムースコールはかなりお好きみたいで他にも使っていたと思いますけど思い出せません。

 この曲ってクインシー・ジョーンズさんがカバーしているらしいですね。今知りました。つい最近にジャズ評論家の大友良英さんの番組でクインシー・ジョーンズさんのお仕事を振り返る企画を耳にしたんですが、素晴らしかったです。質が伴っているので奇異に聞こえないんですけどかなり型破りな、当時においては「初めて聞いた! こんな音!」っていうサウンド作りの実践者だったと知りました。特にアレンジ面において。

 奇異に響かないといえばスティーヴィー・ワンダー氏の音楽に戻そうと思うんですが、「You’ve Got It Bad Girl」もそうですがこの超名盤「トーキング・ブック」で鳴らされるアナログシンセね。曲を表現するにおける一要素として溶け込んでいるというか、フィルターは開いてるかもしれないけどレゾナンスは絞り目の奥ゆかしい感じ。「トーキング・ブック」のアルバムとしての統一感と言って良いと思いますけど。素晴らしいです。

 私は2曲目の「メイビー・ユア・ベイベー」。もんのすごくグルーヴしますけど、あんまりドラムが活躍するっていう曲じゃない。かなり控えめ。スネアが異常に最小限。あの人にとっては決してドラムはパターンを鳴らす楽器ってだけでもないってことですよ。変幻自在。その分シンセベースが伸びやかに歌ってますけどね。すごく好きです。