TROMS〔29〕UFOホテル

 「UFOホテル」ですよ。こちらも“ラブホテル”と称される例の施設です。

 上のイラストでは学校の教室から大きくそのホテルが見えるような感じになっていますが、これは誇張でありまして。実際はもっと小さめに見えましたし、茂った竹林に阻まれてお昼であれば意識することもできないという位置関係でした。距離的には200メートルちょっと離れていたと思います。

 しかしそれが夜になると、UFO建物の上段の周囲の丸い窓が赤く光って右旋回だったか左旋回だったか忘れましたけどチカチカ流れていくんですね。カッコいい。それは間違いない。しかし周囲が暗い中での「光」は目立ちます。中学校の教室から見てもその存在があからさまになってくるんですね。ちょっと問題ですよ。

 中学生は暗くなる前に帰宅しますから実のところ校舎から「光るUFOホテル」を見た経験というのは特別に日が落ちるのが早い時期の数日しかなかったです。私の体験としては。

 私はあんまり深く考えるタチじゃないので中学の近隣にラブホテルがあるという点について深刻には捉えていませんでしたけど、イラストのように赤い光を背中に受けるようにして帰り支度をしている時には「うちの中学もたいがいだな」と思いました。「開店中! 回転中!」ってウルさい感じですからね。マすぐに忘れるんですが。

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 地図にして説明した方が良いと判断しました。がんばりましたよ。かなり手間がかかりました。

 カエルくんが、またもや“飲んで”いますけど気にしないでください。

 地図に戻しますけど、実際の距離からすると移転する前の「サーチライト・ホテル」の方がむしろ「UFOホテル」よりも中学校に近かったのです。チョビッとね。

 実は「サーチライト・ホテル」と「UFOホテル」の経営母体は同じです。

 「サーチライト・ホテル」が立ち退きになったので「UFOホテル」として移転したのです。それと便宜上「サーチライト・ホテル」とか「UFOホテル」って当ブログにおいては表記していますけど、実際の名前は違います。「ホテル・リオ」っていいました。移転前も移転後もどちらも同じ名前です。

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 富士市と富士宮市をつなぐ自動車専用道「西富士道路」の新設工事の際に「サーチライト・ホテル」が立ち退きになったんですね。「ジャマだ!」って言われた感じ。

 ですからその点において「サーチライト・ホテル」は被害者なんですよね。

 ところが移転先が問題。しかも「サーチライト・ホテル」が木々に隠れる存在であって、絶妙に昼間は目立たなかったというのは前回に申し上げた通りですけど。

 それが移転した場合の計画としてはモロに見えていて、さらに外観がUFOだと。知れ渡っちゃったんですね。

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 主に子供のいる世帯の父母の方たちによる反対運動が始まりました。

 反対しながらも移転のイキサツから考えるに「ちょっとムリっぽい」っていうね。道路計画の被害者ですからね。そんな雰囲気を感じながらの反対運動だったと思います。

 実際やっぱり営業を止めることはできずに運動としては立ち消えになりました。

 しかしこういうのってネガティブに捉える人もいるかもしれません。「やるだけムダじゃないか」ってね。ですけど、「大人は反対してくれた」っていうのは良いことだと思います。「やるだけやった」んだと。子供に対する影響は小さくはないと思います。私自身の当時の実感としては。

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 ラブホテルっていう存在それ自体は無いと困る人が多いですし、その存在意義は完全に認める立場の私ですが、やっぱり設置における方法、位置ですよね。あんまり「どうだー!」って誇示するものでもないなって思います。

 今ではこの「UFOホテル」は存在していません。撤退した理由については私は知らないので何とも言えません。しかし自動車で利用するにしても便利すぎるというか、もうちょっと隠れていた方が入りやすそうかな、っていう気がしました。

 だだっ広い印象の四つ角の角っコで広めの幹線に接続しているんで、もうちょっと雰囲気としてはクネクネした道の先とか山の奥にあったりね。そういうんじゃないと道中の車内における雰囲気形成にも影響ありそうです。私は利用した経験がありませんので想像です。

 しかしあの外観はね。UFO型のね。惜しかったです。あれがラブホテルじゃなきゃね。良かったのにね。夢のある外観でした。

 仮にUFOホテルからピンク色の怪光線が発射されて自動車を捉えて巻き込んでいくように入室するようになっていれば良かったのかもしれません。

 「うわ~! 引き込まれる~~~! たーすけて~~。 こうなった以上はココロならずも、ココロならずも。利用せずにはいられない~~ッ」っていう泣き笑いであるとか……。

 でも今の技術じゃムリですね。