ジゴクに落ちた野郎ども〔01〕

 地獄のムシ氏シリーズの後半を始めようと思います。

 何回か申し上げたとおり、地下のムシ氏。これは最初は地獄描写に伴う背景というかワキ役の練習のつもりで始めたんですけど、ムシ描写そのものが楽しいのと、ムシ相手なら陰惨さが薄れるという効果に気づいてからは、地獄の亡者そのものとしての扱いに変化しています。私の中で。

 それでね。今までのムシ氏は比較的おとなしいというか大多数の生前に小さな悪事を働いた人たちを表現していたんですけど、後半からはいかにもクセの強い人たちですよね。

 こりゃ地獄に落ちてもムリないなっていう、こまったオジさんたち。聞き分けに欠ける人たちですよね。

 私の得意分野ですよ。

 建設現場でアルバイトしてたり、自動車工場で2交代の組立作業に携わったりね。いろいろやって見てきました。

 バブル経済崩壊後の残滓ですよね。借金が億単位である人とか。この人は良い人でしたけど。あと親の山林を勝手に売って逃げてきたとか。前にも書きました同僚相手に儲け話をチラつかせて集金を企むおっさんとかね。議員の地区担当の秘書をやっていたのだが違法な土地取引の責任をかぶせられて身を隠している人とかね。ちょっとかわいそうでしたけど、保守本流みたいな議員について、いずれは自分も立つつもりのその人がかなりリベラルな思想の持ち主だったりして。「世の中こうしたものなのかな」なんて思わされたりしました。

 そんなワケで、反抗心にあふれる粗雑なムシ氏の練習の始まりです。