むらびとカンガルー〔05〕

kanga-roo_06

 年賀状イラストのお仕事の作業メモです。
 着色案にお返事をいただきまして、大丈夫だと確認がとれました。

 プリントする前にイラストを見直して、気になる部分に手を入れました。
 訂正作業は思っていたよりも早く終了。
 画面を構成する要素は多めだったのですが、今回は構成の面ではそれほど悪くはなかったかな、という感じ。
 マしかし悩みが少なかった分、変に集中してしまい、その後に健康を崩しちゃったんですよね。あれは失敗でした。

 印刷作業に移行しましょう。
 しかし材料の調達に問題が発生しました。

 紙は地元で無事に入手。
 プリンターのインクなんですが、いつもは地元で買うところ、ネットで買える「増量タイプ」というお得さに目がくらみ。“3色カラー”を2ヶ購入。

 これで買い置きしておいた“クロ”のインクと合わせて、いざ印刷と思ったのですが、買い置きの方をよく見てみたらこちらも“3色カラー”。
 また失敗。思い込みはロクな事がありません。

 地元の大きなお店を2軒まわったのですが、どちらも品切れ。
 結局、通販のお世話になることに。何をしているんだか。

 お店からの帰宅の行程は上り坂。汗だくの状態。
 しかし汗だくになって自転車をこげるほど健康状態が回復して良かったです。

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 ラジオ日記なんですが、日曜の朝はNHK・FM「現代の音楽」。
 今日はピエール・ブーレーズ氏の作品と活動について。
 トータル・セリエリズム。総音列技法について。
 西村朗さんの解説とともに聞きました。

 総音列技法とは、十二音技法をさらに推し進めた作曲法だと知りました。
 音楽を構成する要素をパラメーターとして解体してそれを1ヶずつ使って作られた曲ということらしいです。非常に厳密な手法ですよね。

 しかし出来た曲を聴いてみると問題が出てきてつまり、どれも代わり映えがしなかったり、人間(作曲家)が介在する余地に薄かったり。

 「構造 I (の第1曲)」というブーレーズさんの曲を見本として聞きましたが。ものすごく頭を使いそうな大変な曲。

 聴いた感じはパソコンで生成したアルゴリズム・コンポジションの作品みたいな感じ。
 ただやっぱり演奏は全部ナマの人間(ピアノ2台)がやっているので、その部分は聞いていて面白かったと思います。
 これはちょっとうれしい発見でした。個人的に。おそらく奏者がふたりっていう部分がまた絶妙にイイんでしょうね。

 その後のブーレーズさんとしては、音列技法の極北からちょっと後戻りして作曲家の作品として成立する作風に転じた。というコトのイキサツなんだそうです。

 厳密な美学からちょっと戻って人間性の回復っていうかね。
 あんまりよく知らずに書いてますけど、ロマン主義が頂点に達した後の現代的な動き、そしてまたちょっと揺り戻したっていうその過程が私としても腑に落ちたかな。という感想です。
 あくまで中心は新しい美への追求だったり興味であったり。

 これが50年代の音楽の動きだということでした。
 まだまだみんなが前を向いている感じです。
 そういう時代だったのかなと思ったりします。

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 番組としては先週の芥川也寸志さんの躍動するオーケストラ作品の紹介もあったんですが、その前の週はフルート奏者の若林かをりさんが2週にわたってスタジオにて西村朗さんとご出演。実演も交えた非常に良い内容。
 若林さんの演奏は、西村さん作曲の「氷蜜(ひみつ)」というフルート・ソロを何年か前に番組で聞いたのでした。

 番組でかなりたっぷりとお話ですとか特殊技法の実演を聞き、理解が進みました。
 その後で再度「氷蜜」を聞いたり、ネットで聴ける他の演奏も聞いたりしました。何歩か先へ若林さんの世界に近づけたかなという感想。
 「氷蜜」の放送の時にもホイッスルみたいな部分の解説は聞いた覚えがありますが、他の細かい特殊技法も聞き分ける事ができ始めました。
 わざわざそこに特殊技法を置いた意味など、考える起点、足掛かりに恵まれたという感想です。

 ラジオでの内容に戻そうかと思うんですが、これがまた鮮烈な印象の作曲家であるシャリーノさん。はじめて知りましたが大変良かった。

 特殊な奏法てんこ盛りですが、曲のテーマというか世界は割と物語性があるというのがまた面白かったです。
 シャリーノさんは「特に響きの良い場所で演奏してほしい」という意向をお持ちなんだそうですが、若林さんの鋭く強い短音がホールの天井にぶつかって音のベールになって落ちてくるサマもよく収録されていて美しかったです。

 別の番組の話になりますが11月の「吹奏楽の響き」で、やはりフルート奏者の多久(たく)潤一朗さんの特集があり、多久さんも特殊奏法を駆使するタイプのプレーヤーだそうです。
 いわく「音色のパレットにより多様な音を収めておく意味でも特殊奏法はあって当然という気持ちでいたい」、というような。うろ覚えですがそんなことをおっしゃっているのを聞きました。
 3人のフルート奏者による蒸気機関車の音の再現はとても素晴らしかったです。
 蒸気がモワッと膨らみ、かすむサマというのがよく描写できていたと思いました。
 そんな放送を聞いた次の週の若林さんご出演だったと思います。
 活躍する場は違うのかもしれませんけど、前向きな姿勢で良いなって思いました。