【マンガ】おたずねの件

relationship

(本日の文章は、すべて音楽についてのおハナシです。)
 ライブを見た感想の第2回「アトミック・ファームの演奏を聞きました」です。

 このバンドは聞きたかったんですよね。県内で活動するバンドだって点を差し引いても非常に興味のあるバンドです。

 割とフレキシブルな活動をしているバンドです。普段はロックバンドとしてエレキギター、エレキベースとドラムセットなんですけど、アコースティック楽器による演奏もこなすんですね。それだけでなくボーカルの人が単体で歌いに出向くコトもあって。単身の場合はバンド名義とは分けているようですが。とても意欲的ですよね。

 この日は、小さな会場での演奏でしたのでアコースティックセットでした。

 しかし実は私はこの「アコースティック楽器の響き」というのがあまり好きではないんですね。エレキ偏愛っていうか、日頃から当ブログにおいて「ギターの音は歪んでれば歪んでいるほどエラい」とか言ってますから別にクドく言う必要もないでしょうか。“自然な音”とかよりもエフェクトかければかけるほど好きって感じですから“アコースティックな音”の対極なんですよね。好みが。

 そんな私ですから前日までこのライブを聴きに行くつもりはなかったのですが、仕事の進みが思っていたよりも良かったというのがまず1点。
 それとナゼか私の場合、冬は割と仕事が忙しくなるのです。本当に不思議なんですけど非常にヒマな年でも11月ごろから2月くらいまで仕事が詰まっていたりします。
 現状、別に冬に向けてのお仕事の予定なんてありません。がしかし直前まで予告無しというのもいつものコト。今を逃すとアトミック・ファームを観られるのは来年の早春かもしれません。う〜ん………。これは見に行こう!と思い立ったのです。

 会場に到着すると、すでに演奏は始まっていました。遅刻してしまいました。

 初めて生で聴いたワケですが、その場で聴く演奏は良いですね。

 女性ボーカリストがベースを弾きながら歌うのですが、とても声が響いていました。会場がかなりコンパクトな大きさでしたので、声を張るところではマイクの芯を外して歌うというような工夫をされていたようです。音量的には生声でも十分に足りるんでしょうけど、マイクとの距離でリバーブの量を調節するような感じだったかと思います。

 それとベースの演奏がまた素晴らしかったです。フレットレスをお弾きになるんですが、複音単音おりまぜて、大きな曲想も、リフものも、あるいはルート弾きで直線的に追い込んだりと、自由自在にこなしていました。やっぱりフレットレスならではの大きなビブラートは聞いていて本当に気持ちが良いものです。なんだかベースの音色自体からしてとても濃密なものに感じられますよね。
 数年前のライブの動画をネットで見ますと、普通にフレッテッドのプレべかなんかでしたが、フレットレス転向は大正解って感じで、歌の世界と音色とが完全に同体になっているなと思いました。

 ドラムの方は割と最近、加入された方なんですが、この方の演奏も良かったですね。期待以上でした。
 上で述べましたようにこのバンドの核は濃密な歌とベースのフレーズであると思うんですけど、かなりうまく絡めていたように思います。

 過去のライブ映像を見るに、淡々とパルス的に叩くよりも情感込めたラインとして叩くと良いのではと感じていたんですが、まさにそんな感じが出来上がっていて我が意を得たりじゃないですけど、良い人が加入したんだなと感じました。嬉しかったです。

 具体的にはジャンベみたいなアフリカンパーカッションでの演奏でした。
 ボーカルの帯域と被らない豊かな中低域という感じでベストな組み合わせだと感じました。頭髪的にはピンク色のモヒカンをされておりましてカラフルでした。
 (残念ながらアトミック・ファームのお写真は無しです。途中から見たので最良の時期を逸してしまいました)

 バンドが無音になる瞬間からタイミングを合わせての「ドン!」というイキもピッタリで、よく練習されているんだなと思いました。

――――――――――――――
 
 上記の2名に加えてギターの方がいらっしゃるんですが、この日はガットギターをお弾きになっていました。たぶんエレガットとか呼ばれるギターだと思います。
 ネット上の動画で見たエレキギターでの普段のライブに比べるとかなりアッサリしちゃってるかなと感じました。演奏的にはかなりバチバチ鳴らして迫力はあったんですが。
 ガットギターという楽器の特性なんでしょうか。音程感のあるハイハット的に聞こえてしまいます。別にそれが悪いとは思いませんが、私はこのバンドは濃くすれば濃くするほど良いと思うのでもったいなく思いました。

 実は私はこのギタリストの方にはかなり注目しておりまして、クラシックロック好きが音に出ている素敵なプレーヤーなんですが、曲によってはジョニー・マー的なアプローチもチラリと見せたりして要するにギター単体で聞いても結構イケます。
 早弾き良し、伸ばして良し、揺らして良し、(エフェクターを)踏んで良し、というグッド・ロック・ギタリストだと思います。
 私がアコースティックセットでのアトミック・ファームを避けたかった要因はコレなんですよね。ギターはエレキのほうが良いんじゃないかなっていう部分です。

 ギタリストの方がネット上で書いている文章を読むと、ソロは出たとこ勝負を好むようで、日々の練習で蓄えた引き出しからその場で組み立てるって感じでしょうか。こういう緊張感って見ている人にも伝わるライブにおけるダイゴミです。
 私がこの日に見たライブでは割とそういうフリーな部分がギターにおいては少なかったのかなと思います。

 ついイロイロと書いてしまいましたが、総合的には良い歌が聞けて大満足でした。
 次こそは普段のエレクトリックセットで聞きたいと思います。

 しかしまぁ実のトコロ、私の感覚ではこのバンドはもう県内よりも大都市圏でやるべきだって気もすごくします。実際、中央でのブッキングも増えているようです。強敵にガンガン当たってさらに成長してほしいなと思います。
 他ではなかなか聞けない歌の世界と濃さを持っているので、たくさんの人に聞かれると良いなと思います。

アトミックファーム
 (帰り際に最新作のCDを買わせていただきました。)