【イラスト】滝に打たれるセンザンコウどん

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 お昼前のNHKラジオを聞きました。家電収集家の松崎順一さんがご出演でした。主に古いラジカセを再生させて販売する方、という認識です。
 この方は比較的メディアへの露出は多いですよね。
 ご本人のヒトとナリは私なりに心得るものがございましたのでリラックスして楽しくお話を聞いていたのですが、ラジカセのニュー・モデルを作りたいという話に及んでびっくりしました。
 音楽レーベルとかも作りたいのだと聞いてさらに驚きました。
 昨日のエントリで話題にさせていただいたマクラフリン氏のバンドのアルバムタイトルじゃないですけど「うちに秘めた炎」ですよ。もう露出している段階ですけど。
 にこやかな感じのあの方の中にそんなものがメラメラしていたとは。

 しかしまぁどうなんでしょう。私自身、テープの音質は好きで、今でもテープエコーは使いますし、制作環境の模様替えができたら、カセットテープのデッキもシステムの中に組み入れたいと思っています。
 ちょっと話が飛ぶんですが、まだ私が20代前半の頃に「テッチー」っていう雑誌があって、たくさんの素人の人がカセットテープに録音した自作の曲を送るというコンテストがありました。
 その音質というのがカセットですから悪いんですけど、「悪いけど良い」っていう捨てがたい何かがあって、その辺を思い出したらカセットテープの感じは取り入れたいなと考えるようになったのです。
 テクノミュージックがはじまった頃の制作なんかも「おそらくボスのハーフラックエフェクターかなんか使って作ってるな」っていう感じですね。そういったものが良かったように思えて。
 小さなノイズとか周波数特性的にあんまり良くないものの良さっていうんですか。特に磁気テープっていうのは独特ですけど。

 実はそういう思いっていうのはカセットがスタれかかったコロから私にはあって、「カセット時代が終わろうとしている」「メーカーが作りこなれたカセットデッキの文化の最終的な良い部分を(安く)すくい取るなら今だ」というワケで、当時の新品のデッキを1台確保したのです。
 お金があまり無かったので、大したグレードのものは買えませんでしたけど、簡易3ヘッドっていうのでしょうか。そんなものを買いました。やっぱり投げ売りっていう雰囲気はあってずいぶん安くなっていました。

 ですが以上の私の思いは音楽制作上の特殊なお話で、私の普段の音楽聴取というのはもう完全にパソコン。デジタル最高だなって感じです。
 もちろん根強いアナログレコード盤の売り上げであるとか、カセットテープで作品発表を行う音楽家の存在も聞き及んで入るのですけど、そうはいってもけっこう不便ですからね。全然イージーなリスニングじゃないですよ。いそがしい。

 松崎氏語るところのドリームっていうのは大変にワクワクするものがある反面、「大丈夫かな」って思いました。

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 その他には、大友良英さん語るところの若き日の思い出が面白かったです。
 歌舞伎町というか職安通り付近にカセットテープの工場があって、そこでたくさんのテープを作るバイトをされたとか。
 余談になりますが私も歌舞伎町の職安というか今でいうハローワークには何度か行きました。
 私は新宿区民だった時期がそれなりに長いのです。都合、7〜8回は行ったんじゃないですかね。失業給付金とか再就職のあれやこれですね。

 ですが本日のラジオ番組で一番良かったのは番組パーソナリティの宮沢章夫さんのお話でした。
 まず紹介されていたジ・アート・オブ・ノイズの曲がかっこよかったってのもあるんですけど、ZTT的なお話はこれまた長くなりますので別の機会に。
 「便利なものが便利じゃない」みたいなお話です。
 つまり視覚障害者の方にはスマホとかのデジタル機器で音楽を聴こうとすると大変。むしろラジカセの方が手で触ってボタンの位置がわかるので良いという。
 そういえば特に昔のラジカセはボタンに刻印的にへっこんでる“早送り”だったり“再生”のシルシが大きかったですね。
 操作した感じも「バスン」って感じの大きなストロークがあって気分が良かったです。
 また話が飛びますけど私が愛用しているアカイのMPC1000っていう小さな機械のボタンのストロークが短くてねぇ。これは楽器のお話なんですけど。
 あれと同じものを大柄な「ヘイ・メーン」って感じの欧米の方も使うのだと思うとイヤがらせに近いなと感じます。
 アカイS900の頃のボタンはまだ良かったので残念です。いまさらこんなことを言っても何にもなりませんけど。

 すっかり別の方に熱をおびるカタチになり申し訳ありません。最後にラジオを聞く中で私がハっとさせられた意見を記しておこうと思います。
 視覚に障害のある方が、ラジカセ等の操作感のお話がてらに触れたものだったと思いますが、「目は見えないけど人生むちゃくちゃ楽しい。でもこの先、妊娠中の検査で異常があると分かるようになるともう自分みたいな人間は生まれてくることができなくなるんではないか」。
 重いですけど大切なことですね…。ディック的にいうと「まだ人間じゃない」ですね。