非常に珍しくオーケストラ音楽を聴きながら作業をしております。ルロイ・アンダーソンです。普段はロックや打ち込み物等、ガチャガチャした物ばかり聴いていますからスピーカーが気持ち悪がっているかもしれません。
昨日は体調が悪く、寝たり起きたりの一日を過ごしてしまいましたが、良く寝た甲斐あって本日は快調。
具体的には『犬のオーケストラ』を描いております。団員を一匹ずつこしらえていく地道な作業。総勢20名ほど。
作業を続けるうち、ふと『オーケストラがやってきた』というTV番組を思い出しました。
山本直純さんですね。直純!直情にして純粋。本名だそうですが、良くも名付けたりという気がしてなりません。ただ、お父さんから「直」の1文字を受け継いだ形跡があるので、ひょっとしたら「純」の方も誰か別の親族の方由来だったりして…。だとしてもピッタリな名前ではあります。
ともあれ直純氏。『寅さん』の音楽とか、『新オバケのQ太郎』とか、昭和のお茶の間に似合う音楽を多く作った人という印象です。と言いますか、直純氏の人格そのものがイコール昭和だったのではないかな、という気もいたします。無理して作った印象が皆無ですものね。
実は、私。子供の頃に、氏が指揮棒を振るうコンサートを見た事があります。それが『オーケストラがやってきた』の収録だったのかは不明ですが、良く似た構成でした。想像ですが、『青少年の為の文化事業』的なノリで、番組の他にも日本各地でそんな企画をこなしていたんではないでしょうか。
場所は、今はもう無くなってしまった富士市の文化会館でしたか。船の形をモチーフにしたという建物。現在は別の土地に『ロゼシアター』という立派な施設が出来ていますが、立派すぎて若干馴染みにくいというのが本音。
演目は、正直言って全く覚えていませんが、最後に『仮面ライダー』のテーマを演奏してくれたのを覚えています。曲目を紹介するときの前フリがおかしくて「それでは最後に!会場のチビっ子たちィ!…かめ~~~ん!…ライダー!!」と変身ポーズ風のアクションを交えた後に演奏に移ったのを覚えています。
山本直純氏らしいアクションでした。ちょっとバラけてるんだけど、迫力と人懐っこさがあるというか。今思い出すと、あのポーズは全身を使った「オーケストラは楽しいんだゾウ!」というメッセージだったのかもという気もします。
聴いている私は「1号(仮面ライダー)のテーマはちょっと古いな。」と思って聴いた記憶があるので、おそらく小学校2~3年の頃だったと思います。
ここでようやくタイトルにつながります。もう一つ覚えている記憶。演奏中にコントラバスを回転させる曲があったのです。大変にアクロバティック。先述の直純氏の変身ポーズと同様に視覚に訴える記憶です。子供が退屈しないようにという配慮が大だったのでしょうが、効果てきめん。そろそろ40年近く経つ訳ですが、いまだに覚えています。
ちょっと想像しにくいかもしれないので細かく書きましょう。コントラバスってジャズとかでも使われる大きな楽器でウッドベースとも呼ばれます。バイオリンを凄く大きくしたような外見で、ボディの下に1本の足がついています。
そのコントラバスを演奏しているおじさんが、左手でネックをつかんだまま、右手をボディにかけて勢い良くグルン!と廻すのです。しかもご丁寧なことに他の楽器がタイミングを合わせて「ヒュン!」という効果音を出してフォローするんですね。非常に子供受けの期待出来る瞬間です。目を丸くしてしまいます。
その曲が、誰あろうルロイ・アンダーソン作曲の『プリンク・プレンク・プランク』です。ピッツィカートを多用した楽しい曲です。ピッツィカートとは、バイオリンみたいに弦の張ってある楽器の弦をはじく奏法です。『ポン』という音がします。ロート製薬のCMソングでも有名。『♪ロ~ト~。ロ~ト。ロ~ォト~ ポン!(←これです)』
ルロイ・アンダーソンという人は、アメリカの作曲家です。日本では、『トランペット吹きの休日』という曲が良く聴かれています。誰でも知っている運動会のBGMです。曲は凄く有名なのに、曲名も作曲者名もあまり知られていないケースはママありますが、この方もその一人ではないでしょうか。
ガーシュインなどと同様にジャズの影響を深く感じさせる曲が多い人です。ジャズの影響があるくらいですから近年の作曲家。第2次世界大戦後に才能のピークを迎え、大衆向けのポピュラーな曲を多数残しました。
こう書くと山本直純氏が日本各地で演奏する為の曲としてチョイスしたのはベストな選択という気がしてきます。
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私は、ルロイ・アンダーソンのCDを1枚持っています。それがタイトルにもありますが、『トランペット吹きの休日〜ルロイ・アンダーソン名曲集〜』です。演奏と指揮はルロイ氏と大変に関係深いアーサー・フィードラー&ボストン・ポップス管弦楽団。
どれもコンパクトかつキャッチーな曲ばかり。楽しいですね。こういうのを「セミ・クラシック」と呼ぶそうです。