リスくん_かまびすしいヒナちゃんたち

noisy_baby

 ようやく先々週に入った原稿のラフを仕上げられました。
 時間がかかってしまいました。
 仕事が立て込んでいたコトもあるんですが。
 次は仕上げの段階に入りますが、引き続き気を引き締めて取り組んでいこうと思います。

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 イラストレーターの生賴範義(おうらいのりよし)さんが亡くなったと知りました。残念です。
 私は中学生の頃に生賴さんが描いた「スター・ウォーズ(映画)」のポスターを見て衝撃を受け、とても憧れました。

 実は私は二十歳頃までは今と違い、リアルなイラストを描いていたのです。
 あまり突き詰める事もなく早々に挫折して方向転換をはかりました。その方向転換自体は私にとって正しかったと思います。

 高校生の頃に生賴さんの画集を買ってくり返し舐めるようにながめたのですが、巻末に載っていた文章は私に大きな影響を与えました。

 生賴さんイワク「絵を描く者は肉体労働者である」という事でした。
 実際に机に向かって何か描き続ける生活を続けるごとに、この言葉は重くなっていくんですが、実のトコロ私は若い頃からこの言葉を大切にしていました。ずっと秘めていたので、この事をクチに出すのはこれがはじめてです。
 ちょっと暗いハナシになるかも知れませんが、若いからとカラダをぞんざいに扱っている専門学校時代の友だちを見たりすると「プロ根性に欠けるな」なんて、自分自身まだナニモノにもなっていないにも関わらず思ったりしていました。

 いやあ自分の深い部分を話すのは恥ずかしいですね。

 建設現場でのアルバイトの際もかなり自分の体の扱いには気をつけていました。
 さすがに半世紀も使っているとアチコチに小さな不調はありますが、職業病と言われる事も多い腰痛とは無縁です。

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 生賴さんの画集の巻末の言葉に感銘を受けた方はどうやら少なくないようです。ネットを見たらその文を書き写している方がおられました。
 私はただ懐かしい思いでその文を読んだんですが、ほとんど忘れていた部分にビックリしました。私がふだん心がけている事に思い当たったからです。

 私はまぁ大したイラストレーターでは全然ないんですが、お仕事を引き受ける際には「原稿を書いた人が、もしも絵が上手い人だったらきっと自ら描いたであろうイラストを、その人に成り代わって描こう」という基本的な考えがあります。時々それを忘れてしまって「イカん、イカん」と思い直したりもしますけど。

 生賴さんの文が伝えるものは私が考えるものより次元が上の非常に真摯な態度であるワケなんですが、それをずいぶん希釈したものを私は自らの座右の銘めいたものに据えていたのです。

 まぬけなハナシですが、「依頼者に成り代わって描こう」という心がけを私は仕事を受けるうちに確立した自分オリジナルのものだと思っていました。ですがハッキリと分かりました。これは生賴さんの言葉を自分なりに簡単にしたものでしかありませんでした。

 ちょっと私にしてはでき過ぎたイイ心がけだなって思う部分もあったんですよね…。それゆえコチラもクチに出した事はありません。
 まぁ高校の時分に本当に熟読しましたからね。高校の図書館にあったミケランジェロの素描を模写したりしたのも多分生賴さんの影響だったのか…とか、色々と思い出しました。

 しかし高校生というまだまだ素直な時代に読み込んだのが生賴さんの言葉で良かったと思います。感謝ばっかりですね。